労働証明書=地域通貨=政府貨幣=減価公債?
<2005.09.25>
このヴェルグルの「労働証明書」は地域通貨の成功例として有名ですが、見方を変えると、これはヴェルグルという地方政府が発行した「政府貨幣」です。また違った角度からみると、労働債権を持つ町職員や公共事業従事者などの債権者に直接手渡された「公債【※1】」です。
この公債は法定通貨によって購入される印紙によって自己償却していく「減価公債」ということもできます。
公債は、今でも国や地方公共団体が多額の発行を続けています。私たちが日常使っている銀行券も日本銀行が発行している債券です。であれば、減価公債を発行してはならない道理はありません。
この減価公債が普通の公債や日銀券と違うのは、利子がつかず、借金とはならない点です。その費用負担は、ゲゼルがいうところの「持ち越し税」をかけることによって債券保持者が負担することになり、その持ち越し税によって自己償却していきます。
これまでみてきた通り、日本の財政は危機的状況にあります。
これ以上の借金を増やすことはできません。
しかし、公的な資金負担をしなければ成り立たない公的事業はたくさんあります。赤字が積み上がっている現実が証明するように、回収性と収益性のある、つまり採算のとれる事業など公的事業の中には少ないのです。
ならば、本当に必要な事業を、この減価公債=老化するお金を発行し、おこなえばよいのではないでしょうか?
この老化するお金のもうひとつの利点は、お金を下流から流すことができる点です。お金を下流から流すことによって、これまで購買力を持たなかった人に購買力を持たせれば、個人消費が促進され、資産デフレも食い止めることができるかもしれません。
老化するお金は、ヴェルグルの事例でみたように流通を促進させます。
お金の供給量を増やし、その回転率をあげることはP・V=国内総消費の方程式に当てはまり、景気の回復に必ずや役に立つでしょう。