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分析してみると、極めて希な例外を除いて、イスラエル国家の政策と主要な米国シオニスト組織のそれとの間にある相違を見出すことができない。米国によるイラク攻撃の前段階はその格好の例である。1980年代末期以来、第1次湾岸戦争、クリントン政権による制裁と日常的な爆撃、イラク北部「クルディスタン」の他地域からの領土的分離、そして2003年の米国による侵略に至るまで、イスラエル政府は米国の議員達やベテランの政策決定者たちに圧力をかけてイスラエルの「敵」に対する軍事的政策の方向に進ませた。米国によるさらなるイラク破壊をせきたてるイスラエル国家の政策は、主要なシオニスト組織およびクリントンと後のブッシュ政権内部の重要なシオニストの高官たちを通して伝達された。デニス・ロス(Dennis Ross)、マーティン・インダイク(Martin Indyk)、マドレーヌ・アルブライト(Madeleine Albright)、リチャード・ホルブルック(Richard Holbrook)、サンディ・バーガー(Sandy Berger)、ウイリアム・コーヘン(William Cohen)とその他の者達はクリントン政権での最も重要な対中東地域外交政策決定者であり、彼らはイラクの制裁と爆撃と領土的分割を立案して実行した。省内にいる期間の後でクリントンの主要なシオニストたちはワシントンにある親イスラエル・シンクタンクで作業を行うこととなった。2001年9月11日の襲撃の後で、ブッシュ政権のトップ・レベル地位にいるシオン・コンたち、アリ・フレイシャー(Ari Fleischer)、ポール・ウォルフォヴィッツ(Paul Wolfowitz)、デイヴィッド・フラム(David Frum)、リチャード・パール(Richard Perle)、ダグラス・ファイス(Douglas Feith)、エリオット・エイブラムズ(Eliott Abrams)、アーヴング・(スクーター・)リビー(Irving (Scooter) Libby)、デイヴィッド・ウヮームサー(David Wurmser)その他、およびジョセフ・リーバーマン(Joseph Lieberman)上院議員のような重要シオニスト議員たちが米国にイラクを攻撃するように要求したが、それは引き続く一連の戦争の一部であった。それにはシリアとイランも含まれる。彼らはイスラエル国家、特にアリエル・シャロン首相の政策をオウム返しにしたものだ。
イスラエル国家の高官たちの表現したことは、いかなる点においても、ブッシュ政権内で高い地位につく内通者たちの軍事主義的な努力と比べて差し控えた箇所や相違点などは無い。またイスラエル盲従のロビーAIPACと比べても、あるいは主要新聞と放送メディアの親イスラエル論評著作者たちと比べても同様である。シオニスト・イデオローグ達は米国軍の高官たちを臆病者と罵りながらあらゆる場所で優勢を占めた。イスラエルは、1980年代末期以来の政策を維持しながら、ラムズフェルド、パウエル、ライスそしてブッシュによる全てのトップレベル会議の中で、イラク侵略と占領に向けてブッシュ政権をせきたてた。イスラエルのメディアは、わずかの例外を除いて、サダムを悪魔化し中東とイスラエルの安全保障に対する彼の「脅威」を強調し、パレスチナの自爆攻撃とイラクによるパレスチナ人の民族精神に対する支援を同一視し、そして米国内のキリスト教原理主義者の同盟者達にイラク侵略要求の訴えに付いてくるように激励した。
イスラエル国家とブッシュ政権内で高位に就いたシオニストの官僚達との関係についての分析が、最初にそして最重要点として明らかにしたことは、占領地でのイスラエルによる民族浄化と占領パレスチナでの際限の無い植民居住区の拡大、および中東でイスラエルの支配権の強化に反対する中東の複数の政権を根絶するという戦略に基づいて、テルアビブがその政策を形作ったという点である。ブッシュ政権内のシオニスト・エリートは、戦争の口実を発明しプロパガンダを振りまき、そして極めて重要なことだが、米国によるイラク侵略を上手に計画して作戦を実行させたのである。この「作業部隊」には、(AIPACを含む)米国主要ユダヤ人組織代表者会(the Presidents of the Major Jewish American Organizations)に支援された、上流階層にいるシオン・コンたちや議会に対する影響を利用する地方や州や地域のユダヤ人連合が含まれる。
元ペンタゴン分析官であり元米空軍中尉であるカレン・クイアトコウスキ(Karen Kwiatkowski)は、このイラク戦争を導く時期を通して、イスラエルの軍幹部、諜報局幹部その他の高官達が国防次官ダグラス・ファイスのようなシオニスト・ペンタゴン高官たちと毎日のように接触していたと、断定的な証言を行った。相談や情報交換、そしてペンタゴン内トップのシオン・コンたちと米国内にいるイスラエル軍の上級工作員たちによる合同作戦がひんぱんに行われていたが、これは米国をイラク侵略に向かわせるという緊密な合意があったことを示している。イラクが中東地域で連続させる侵略の最初のものでありイランとシリアがその後に続くというシオン・コン/イスラエルの意思一致があったわけで、これは占領の当初の「成功」後にすぐに明らかになったことである。この当時、イスラエルで流行ったジョークはこうである。「バグダッドを奪うことのできる者なら必ずテヘランに向かう」。2002年11月にアリエル・シャロンは、ロンドンのタイムズ紙とのインタビューで、「米国がイラクに侵攻した次の日」にイランへの爆撃を要求したのであった。
連続する戦争についてのシオン・コン/イスラエルの計画は政策文書「アメリカ新世紀計画(Project for a New American Century=PNAC)であからさまに宣言された。これは、米国による世界支配という米国-イスラエル版「我が闘争(Mein Kampf)」であり、そこではイスラエルが米軍権力と利益の享受者となるのである。中東での米国戦争政策を立案し実行させたシオン・コンのほとんどは、この「アメリカ新世紀計画」の著者あるいはスポンサーとしてリストアップされる。その多くの者達は同時にリクード党リーダーであるベンジャミン・ネタニヤフの政策作りに貢献したのだが、それは特にイラクを解体して取り扱いやすい民族グループに分割することを求めたのである。
この地域に対するサダム・フセインの「脅威」についてイスラエル諜報組織が行った「偽情報の捏造」は、脚色されてホワイトハウスによるプロパガンダの需要にあてがわれた。イスラエルのプロパガンダがサダム・フセインを現代のヒトラーであるようにしつこく繰り返される一方で、シオニストのプロパガンダ主任でありブッシュ用の台本作者であるデイヴィッド・フラムは、ブッシュが世界を前にして他国を予防的に攻撃する意図を語る悪名高い「悪の枢軸」演説の中で同じテーマを繰り返した。イスラエル政権の好戦的プロパガンダを考えるならば、イスラエルの世論が全面的にこの戦争を望ましく思っていたことは納得のいくことである。それは米国の主要なユダヤ組織の指導者達も同様だったのだが、しかし米国のユダヤ人の多数は異なっていた。特に若いユダヤ人、およびいかなるシオニスト(イスラエル第一)前衛組織にも属さない者達である。
イスラエルの顧問達と米国政府のシオン・コンたちは、イラクでの国民と軍部の構成を全面的に解体させることに極めて大きな影響を及ぼした。いわゆる「脱バース化キャンペーン」なのだが、イスラエルの地域的な覇権に反対するイラクの近代世俗共和制を再建しようとするいかなる試みをも決定的に弱体化させる目的のものであった。このイスラエルの政策はシオン・コンたちによって追求されたものなのだが、それは、イラクの国家と社会をバラバラにして、親イスラエルのイラク人亡命者(ダグラス・ファイスと仕事上の関係が深いアーメッド・チャラビのような者)たちによって運営される前近代的な種族単位の小地域の社会に変えることであった。それらは中東地域でイスラエルの覇権に挑戦する能力を永久に持ち得ないものである。
イスラエル-シオン・コンの政策は米軍がイラク国家を破壊することを確実にした点までは成功したのだが、それは第2場であるイラン侵攻への道を進む速やかな勝利を確実にすることには失敗した。イラク人たちによる巨大な武装抵抗のためである。アラブ人に対する盲目的な民族的偏見の中で、イスラエルの高官たちとその米国でのエージェントたちは、自分たちの社会への破壊に対するイラク人による人民戦争の盛り上がりの可能性を計算に入れなかったのである。イラク人の抵抗が勢いを得て米国軍の経済的な損失が膨らむにつれて、米国の世論は戦争に反対するようになり、そして誰が軍事的な総崩れ状態の責任者なのかを問い始めた。この危険な徴候を示す疑問に直面して、シオニストのプロパガンダは彼らの足跡を覆い隠すためにギヤーを切り替えた。戦争を煽ったシオニスト官僚のトップは急いで表舞台から去ったが、それは最も明白な戦争犯罪者どもから始まった。ポール・ウォルフォヴィッツ、ダグラス・ファイス、そしてペンタゴンのシュムスキー、およびホワイトハウスのデイヴィッド・フラムとアリ・フレイシャーである。国務省にいたより目立たない強硬派たち、エリオット・エイブラムズ、スクーター・リビー、デイヴィッド・ワースマーなどは、もう少しだけ長くとどまった。後にリビーは、ニジェール大使ジョセフ・ウイルソンがシオニスト軍団の戦争につながる「情報」捏造を表ざたにしたことに関連して彼の妻であるCIA職員の名前を漏らした役割のために、重罪に問われることとなった。《訳注:リビーは結局、ブッシュの力添えで実刑を免れた。》
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