IMFは日本を救えるか!?
<2005.08.18>
日本国内で国債が消化できないとなると、外国からの資金調達が必要となります。
大手格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは、2002年5月に「日本の債務状況を向こう数年間予想した」結果として、日本国債の格付けを先進国としては最低、アフリカのボツワナ以下に引き下げました。
日本政府は、この格付けに対し抗議しましたが、これだけの借金を抱えている国家ならば妥当な判断といえるでしょう。
2004年2月末現在、日本国債を保有する海外投資家の比率は3.7%に過ぎません。
2005年1月から財務省はロンドン、ニューヨークなどで日本国債の説明会を開き、外国人投資家へ日本国債への投資を呼びかけました。しかし、リスクは高いのに金利は低い日本国債への海外投資家の反応は冷ややかだったといいます。
つまり、市場での資金調達は難しそうです。そうなると国際的な金融機関に助けてもらうしか手はなくなります。
財政破綻は何にも珍しいことではありません。
最近では1998年にロシアが国債のデフォルト(債務不履行)、2001年にはアルゼンチンが外国債のデフォルトをおこしました。
デフォルト直前の金融危機におちいった国は枚挙にいとまがありません。特に途上国ではその頻度が高く、自国経済の運営が上手くいかずに外国からの融資を受け、その債務が返済不可能なまでに膨らんでしまった重債務貧困国 は、世界191ヶ国中42ヶ国もあります。
●2002年3月現在、重債務貧困国として認定されている国は42ヶ国
【中近東アフリカ地域:計35ヶ国】
イエメン | ソマリア | エチオピア | 象牙海岸 | マリ |
ケニア | ウガンダ | ルワンダ | ガーナ | ブルキナ |
ファソ | ブルンディ | タンザニア | モザンビーク | リベリア |
ベナン | マダガスカル | ザンビア | アンゴラ | セネガル |
ギニア・ビサオ | コンゴ(民) | コンゴ | 中央アフリア | ギニア |
モーリタニア | カメルーン | スーダン | トーゴー | マラウィ |
サントメ・プリンシペ | チャード | ニジェール | シェラ・レオネ | ガンビア |
【中南米地域:計4ヶ国】
ガイアナ | ボリビア | ホンジュラス | ニカラグア |
【アジア地域:計3ヶ国】
ベトナム | ミャンマー | ラオス |
これらの国々はIMF(国際通貨基金)から融資を受け、その場を凌いでいるものの、結局は債務の鎖につながれ、大変な苦境に陥っています。
IMFに関しては大変、問題が多い機関なので、次章で詳しくみてみたいと思いますが、そのIMFの出資総額は約2930億ドル(2003年1月31日現在)。すでに貸し出し済みのものや、近く行われる借入用に予約済みとなっているものも含むため、新規貸付能力は780億ドルしかありません。
【参考】http://www.imf.org/external/np/exr/facts/jpn/finfacj.htm
為替相場が1ドル=100円として7.8兆円だけです。
これでは日本の単年度の一般会計赤字40兆円すら埋めることはできません。
【資料4】の公債残高の累計にも書いてありますが、全世界の開発途上国の累積債務残高を合計しても約316兆円にしかならないのです。日本は他国と比べ財政規模が多きすぎるので、この巨額の負債は国際機関であっても救済できません。
日本の財政破綻はIMFが助けられる規模ではありませんが、日本が自力で再建ができない場合、国の経営権は失うことになる可能性が大きくなります。
2002年2月14日の衆議院予算委委員会で「ネバダ・レポート」という文書が取り上げられ、金融・財政関係者の間で話題となりました。
アメリカの金融専門家たちは日本の財政状態を、
もう既に回復不可能なほど財政破綻が進んでおり、これを改善するためには相当大胆な改革を断行しなければならず、日本が自らこのような改革をやることはないので日本は遠からず破産する
と見ているようです。
この経済金融レポートには「日本がIMFの管理下におかれたときの予測」を書いていて、以下の8項目の改革が行われるであろうと予測しています。
- 公務員の総数、給料は30%以上カット、及びボーナスは例外なくすべてカット。
- 公務員の退職金は100%すべてカット。
- 年金は一律30%カット。
- 国債の利払いは5〜10年間停止。
- 消費税を20%に引き上げる。
- 課税最低限を引き下げ、年収100万円以上から徴税を行う。
- 資産税を導入して不動産には公示価格の5%を課税、債券・社債については5〜15%の課税、株式は取得金額の1%を 課税。
- 預金は一律1000万以上のペイオフを実施し、第2段階として預金額を30%〜40%財産税として没収する。
IMFでは、総務会、国際通貨金融委員会、理事会などが開かれていて、会議での投票権は加盟国の出資額によって票数が決められています。現在、184ヶ国が加盟国していて、日本は米国に次ぐ出資国ですが、最大の出資国である米国の金融政策・財政政策とは切っても切り離せない関係にあります。米国社会を動かしているのは、実は、ウォール街、米国財務省、世界銀行、IMFの『金融複合体』【※1】で、これらの諸機関は相互に人事を交換し、タイアップしています。世銀やIMFの実働部隊は、ほとんど米国金融機関のスタッフで占められています。
近年の米国の独善的な外交姿勢および日本と米国の特別な関係を考慮すると、日本がIMFの管理下におかれる可能性は否定できません。あまり知られていませんが、米国政府は毎年10月、日本政府に対し「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書」という文書を提出しています。その文書は米国大使館のホームページに公式文書として載っていますので、誰でもみることができます。この文書をみると、小泉首相の言っている構造改革が、実は米国の要望に応えていることがわかります。
【参考】http://japan.usembassy.gov/j/p/tpj-j20041015-50.html
日本政府が米国政府の要望に応えて政策を決めている現状では、上記のような改革が行われるであろう確立は高いでしょう。そうなれば国債は塩漬けにされ、預金もカットされ、資産税も導入される。公務員のリストラと給料のカットが大幅に実行されるから、日本経済の成長は止まり、国内は一時的に大混乱に陥り、国民は大きな「痛み」を味わうことになるでしょう。
また、内閣府の「海外経済データ」(平成16年)によれば、世界のGDPにおける日本の割合は13.6%、米国の割合は33%。両国だけで世界のGDPの約半分(46.6%)になってしまうほど世界経済に大きな位置を占めています。つまり日本経済が大混乱に陥った場合、その影響は世界中に飛び火し、世界経済を大混乱させることになるでしょう。特に、次のコラムに見るように、日本に依存してきた米国経済は大打撃を受けるはずです。世界の覇権国家、米国が経済破綻した時、果たして地球はどうなってしまうのでしょうか?
たとえば、米国財務省元長官のロバート・ルービン氏はウォール街を動かす世界最大の投資銀行ゴールドマン・サックスの元会長。退任後は全米最大の商業銀行シティーグループ会長に就任。
世界銀行の前総裁のジェームズ・ D・ウォルフェンソン氏はソロモン・ブラザーズの元会長であり、自ら経営するJ・ロスチャイルド・ウルフェンソン商会では投機家ジョージ・ソロス氏と組み国際投機をおこなっていた。
米国の中央銀行FRB(米国連邦準備制度理事会)の前議長ポール・ヴォルガー氏はチェース・マンハッタン銀行の元副頭取で、退任後はJ・ロスチャイルド・ウルフェンソン商会の会長に就任。
FRBの現議長アラン・グリーンスパン氏はJ・P・モルガンの重役出身。
ゴールドマン・サックスもシティーグループもソロモン・ブラザーズもJ・P・モルガンも、そしてJ・ロスチャイルド・ウルフェンソン商会も、世界最大の金融財閥であるロスチャイルド系の企業です。
これは決して偶然ではありません。ロスチャイルドとは、一体、何者か?詳しくは第三章でみていきます。
★ワンポイントレッスン★
円高と円安
★column★
米国を支え続ける心優しい国ニッポン‐日本は米国の金蔓!?‐