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米国:あるユダヤ国家

【 VII 】

映画の台本に話を移し、この分野からBBCによって提供されるいくつかのスナップ・ショットを交互に出すこととしよう。パレスチナでは、unrwa 【注記:united nations relief and works agency for palestine refugees in the near east】の主任であるピーター・ハンセン(peter hansen)がこう語った。『我々は全くの恐怖についての報告を手にしています。ヘリコプターが一般市民の居住地区を砲撃しています。戦車によっての組織的な砲撃が何百人もの負傷者を作り出しました。ブルドーザーは難民の家を倒壊させ、食料と医薬品はじきに尽き果てるでしょう。』数十名分もの死体がジェニン難民キャンプの通りに横たわっている。生誕教会は火に包まれている。614年にそうであったように。

その一方で、何万人ものユダヤ人たちがニューヨークに集まってイスラエルによるパレスチナ人虐殺への支持を見せ付けている。15万人のユダヤ人デモ隊がパリの通りを占領してイスラエルへの連帯を表している。イスラエルの旗をひらめかせ彼らの国旗の色である青と白に身を包み(三色旗は投げ捨てられ忘れられている)、デモ隊は共和国広場からパリのバスティーユ広場まで行進した。フランス語とヘブライ語で歌いながら「昨日はニューヨーク、今日はエルサレム、明日はパリ」と読めるプラカードを掲げていた。

イスラエルでは、『この首相のように大部分のイスラエル人の熱望を実現させる者は誰一人いない。これは「戦争屋」シャロンによって起こされた戦争ではない。これは我々全員の戦争なのだ。』と、心と自覚のある人物、ギデオン・レヴィ(gideon levy)【訳注:イスラエルの日刊紙haaretzの論説委員で、シャミールの元同僚である】が書いている。『イスラエル人の大部分によって与えられた圧倒的支持を考えると、シャロンをこの戦争の結果によって非難することもまた非常に難しいだろう。およそ3万人の人間が一個の人間としての義務感に駆り立てられて報告を行い、無関係な容疑で刑務所にいる21名の兵役拒否者と共に、戦争反対運動を起こしている。保守主義者たちは「我々は理由を問わなかった。我々はただ集まって来ただけだ。」と首相に語った。このような時期のイスラエルを特徴付ける症状である『みんないっしょに』を表現しながらである。何万人もの人間がその故郷を離れ普通の生活を捨て去り、そして殺し殺されるために配置された。そうして彼らは「なぜ?」と問うことすらしない。これは群れの行動なのだ。』結論を出したようだね、レヴィ。

レヴィは思い違いをさせられているようだ。この巨大な粘結力とずうずうしいまでの自民族中心主義こそが本当のユダヤ(jewry)の強さなのだ。たとえば、マーク・スタイン(mark steyn)という男がナショナル・ポストに書いている。『あらゆる文明化された民族はユダヤ人を殺すことは悪いということに同意する。』(「殺すこと」が悪い、というのではないのだ。それならパレスチナ人を殺すことは悪いということになってしまう。ひとえに「ユダヤ人を殺すこと」だけが悪いのである。このアプローチは十戒のユダヤ的解釈に基づいている。「汝ユダヤ人を殺すなかれ」なのだ。キリスト教徒の「汝殺すなかれ」ではない。)

デイヴィッド・D.パールムッター教授はLAタイムズに書いている[9]。『私は白日夢を見る――こうであってくれさえすれば! もし、1948年、1956年、1967年あるいは1973年にイスラエルがほんの少しだけ第三帝国のようにふるまったとしても、現在は、イスラエル人たちはピザを売ったり食べたりし、楽しみ、そして聖日を心置きなく楽しんでいる、というような。そしてもちろん、シーク教徒たちではなくユダヤ人たちが湾岸の石油を手にしている、というような。そのような白日夢は教育システムから注意深く取り去るべきである。ナチスを再建させないために。だが心配は無用だ! ユダヤ-ナチズム(judeo-nazism)は米国では勝利のイデオロギーなのだ。

もし英国の週刊誌スペクテイターの俗物タキ(taki)が次のような新しいユダヤ人の熱意と一本気に関する逸話的な事象を広めてくれるのなら愉快なのだろうが。『復活祭の日曜日、昼食をとっている最中に、イスラエルで最も金持ちの女性であるイリット・ランド[10]が、急に私の家に飛び込んできて、アダム・シャピロについて私の友人たちと家族に向かって熱弁をふるい始めた。彼女が私の妻の古い友人で昼食後に立ち寄るように招待されていたにもかかわらず、私は非常に気分を害した。私はイリットに、私の家はイスラエルの占領地にあるのではない、そして今日は復活祭だ、と念を押した。すると、パレスチナ人たちの苦境について私がどのように感じているのか分かったと見えて、彼女は話題を変えた。彼女がその代わりに主題としたことは、新聞を開き、彼らがどのように憎たらしい裏切り者のアダム・シャピロを宣伝しているか、ということだった。』

【訳注:アダム・シャピロはニューヨーク出身のユダヤ人で、親パレスチナ団体である国際連帯運動(ISM)の創始者の一人】

アダム・シャピロのような少数のユダヤ出身の異端者がますます隅に追いやられつつある一方で、塊となったユダヤ人たちがシャロンとイスラエルを支持するために再結集している。米国の高官たちはその指示のままになるしか選択の余地が無い。米国のキリスト教徒たちはその点をはるか昔に了解した。もしあなたが政治やメディアの中でキャリアを積もうと思うのなら、あなたはひたむきにユダヤ人を支持しなければならないのだ。さもなければあなたは、気が付いたときには犬に投げ与えられているだろう。もし一人の人間が米国権力の高い階級への道を見つけたというのなら、彼は引き上げてくれるロープについて学びそして彼の力の限界を知っているわけである。

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【脚注:注釈箇所についての著者からの補足】

[9] april 7, 2002

[10] i normalised the spelling of her name. taki the snob had to spell quite an ordinary jewish name landoi (var. landau) in the french way.

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