第二の植民地政策−債務という鎖による支配−
<2005.08.24>
植民地支配にあった時代、途上国は自給自足の経済から先進国への原料供給地、工業製品の輸出先の市場に暴力的に変えられてしまいました。
自給自足が出来ていれば、お金がなくても飢えることはなく、生きてはいけます。しかし、自給自足が出来なければ、労働力として使われ賃金を稼ぐほか食料を手に入れることは難しくなります。
そして独立後、途上国は工業化を進めようとしましたが、すでに工業化を推し進めていた先進国の経済や、先進国が推進するグローバルな資本主義の中で対等に競争をすることができず、途上国は外貨獲得のために植民地時代に生産していた一次産品(いわゆる原料)の輸出の継続を余儀なく続けました。
しかし、百数カ国ある途上国が、たった30品目程度しかない一次産品を競って輸出したため、その価格が60年代以降、大幅に下落。
その結果、慢性的な赤字が続き、先進国に対して援助を求めざるを得なくなり、「援助」という名目の「借金」をするようになったのです。
途上国が、先進国が出資をした国際金融機関であるIMFや世界銀行からお金を借りる際には
「構造調整プログラム」
を実施することを求められます。
構造調整プログラムの内容は債務国の状況により異なりますが、主な内容は次のとおりです。
- 緊縮財政。(医療、教育、福祉、保険、環境整備予算の削減、あるいは公務員の解雇、賃下げ)
- 付加価値税などの増税。
- 公的企業の民営化。(教育機関や医療機関も含む)
- 生産性や外貨を向上させる産業の促進。(たとえば、森林伐採、ダム建築、換金作物と呼ばれるコーヒー、ココア、サトウキビ栽培など)
- 高金利や通貨切り下げ。
- 各種規制緩和を始めとする、金融、投資、貿易の自由化。
つまり、
- 医療、教育、福祉などの補助や環境保護、公的サービスを切り詰めて借金を返済させる。
- 増税して国民からお金を集め借金を返済させる。
- 利益をあげられるような公的部門は売却して、その収入で借金を返済させる。
- 自然を外国企業に売って借金を返済させる。
そして、
- 自国民が食べる食糧をつくるのもやめさせ外貨が稼げる換金作物をつくらせ、それを外国に売って借金を返済させる。
- 通貨の価値を下げ、輸出を増やし輸入を減らして貿易黒字にし、その黒字で借金を返済させる。
- 規制を緩和して多国籍企業が参入しやすい環境を整える。
という策を実施しなければならなくなります。
このことは実質的に、債務国が自国の経営権を失うことを意味します。
返済はハードカレンシー(ドルやユーロや円のように銀行などで自由に外貨に交換することができる強い通貨)でおこなわなければならないため、外貨を獲得できるように、唯一外貨を稼げる一次産品を生産・販売させられます。
けれど、やはり百数カ国の途上国が一次産品を競って輸出するため、さらに価格は暴落。それでも先進国にお金を返さないといけないので、ダンピングして輸出を続けなければならないという債務地獄に陥ったのです。
また、通貨も切り下げられているので、実質的に借金は何倍にも膨らみます。仮に100分の1に切り下げられれば、借金は自動的に100倍に膨らむのです。さらに、自国で足りない分の食糧を輸入しようとしても、これまでの100倍の値段になっているので輸入もできません。すでに途上国は、借りているお金よりも多くのお金を返済しています。しかし、債務自体は増えつづけています。
【参考】途上国の債務と貧困ネットワーク
http://www.eco-link.org/jubilee/
このような結果、途上国では餓死者が増え、情勢は不安定になり、国政に不満を持つ人、反発する人たちもたくさん現れます。
その不満分子を抑えるため、「世界の警察」を自任する米国がCIAを派遣して情報収集(および情報操作も)し、「治安維持」という名目で世界中に基地をつくり、軍隊が派遣されていきます。
そして、もし本気で反抗する者が現れた場合、本当に攻撃されてしまうのです。
【第二次世界大戦以降の2000年までの米軍による爆撃リスト】
1945〜46年 | 中国 |
1950〜53年 | 朝鮮と中国 |
1954年 | グアテマラ |
1954年 | インドネシア |
1959〜61年 | キューバ |
1960年 | グアテマラ |
1961〜73年 | ベトナム |
1964年 | コンゴ |
1964〜73年 | ラオス |
1965年 | ペルー |
1967〜69年 | グアテマラ |
1969〜70年 | カンボジア |
1980年代 | エルサルバドル |
1980年代 | ニカラグア |
1983年 | グレナダ |
1983・1984年 | レバノン |
1986年 | リビア |
1987年 | イラン |
1989年 | パナマ |
1991年 | イラク |
1993年 | ソマリア |
1994・1995年 | ボスニア |
1998年 | スーダン |
1998年 | アフガニスタン |
1999年 | ユーゴスラビア |
【アメリカの国家犯罪全書より】
【参考】ジャマイカ 楽園の真実
植民地という地獄から解放された途上国は、IMFや世界銀行の要請する構造改革によって再び地獄に突き落とされました。米国の要請で行われている構造改革の結果、日本はどうなるのか?その答えをこの映画に見ることができると思います。
http://video.google.com/videoplay?docid=1223675722957637311&hl=en 〔No.1/12min〕
http://video.google.com/videoplay?docid=9195284102259393843&hl=en 〔No.2/11min〕
http://video.google.com/videoplay?docid=-1870655292788577888&hl=en 〔No.3/11min〕
http://video.google.com/videoplay?docid=-2280161596159135822&hl=en 〔No.4/9min〕
http://video.google.com/videoplay?docid=-9071230377344747507&hl=en 〔No.5/9min〕
http://video.google.com/videoplay?docid=-3813114732225334643&hl=en 〔No.6/13min〕
http://video.google.com/videoplay?docid=-1309354769959838566&hl=en 〔No.7/11min〕
http://video.google.com/videoplay?docid=3873494147797294620&hl=en 〔No.8/8min〕
http://video.google.com/videoplay?docid=-734726880670952984&hl=en 〔No.9/1min〕
★column★
企業利益のために戦争はおこなわれる!?