コラム
■ 企業利益のために戦争はおこなわれる!?
関連page:第二の植民地政策−債務という鎖による支配−『教えられなかった戦争』という記録映画のシリーズを撮ってきた高岩仁監督は、その取材を続ける中で知った「戦争が起こる原因」について、著書『戦争案内』の中で資料を示しながら
「財閥・資本家が利益を得るために戦争を起こす」
と結論付け、その構造は現在も続いているとしています。その仕組みを簡潔に要約してみましょう。
<アジアの例−現在起きている侵略の手順−>
米国が資金提供し、もしくはそれでもうまくいかない時は軍事力で、民主化運動を弾圧し、親米の独裁政権をつくりあげます。
そして、親米政府にさまざまな法律をつくらせ、外国企業が自由に土地を使い、高い利益を上げられる環境をつくります。次に、親米政府は、軍隊を使い、虐殺行為を繰り返し、特定の地域の市民(大抵は特定の種族を)を追い出し、土地を外国企業のために確保します。
その国からは多額のODA(政府開発援助)が親米政府に出されます。
そして、空いた土地に続々と外国企業が進出していきます。外国企業は、人権無視、環境破壊、差別等を行って経済効率を高め、油田・鉱山・食物プランテーション開発、木材伐採を行います。
こうして豊かな国は、自ら直接手を汚すことなく侵略を実現し、資本を広げ、利益を得ることが出来るのです。
現在、アジアに投資している資本は米国より日本の方が上回っています。
力で奪った権利は、力で押さえつけ、維持するしかありません。途上国で土地を奪われた人達は、当然、抵抗勢力=ゲリラとなって戦います。それが、親米政府の力だけでは押えきれなくなってきているのです。
現在は、その抵抗を米軍が押えています。でも、日本の企業の利益のためにいつまでも米軍が手を貸すはずがありません。自国の軍隊を使いなさいということになります。
そこで財閥・資本家から政府に対し、自分達の奪った権利を守るために自国の軍隊を派兵するよう圧力をかけています。明治以降ずっと行ってきたそのやりかたが、現在、再び起きていて、それが「憲法9条の改正」という動きの根本要因となっています。
近年、新ガイドライン関連法や機密保護法、有事法制と着々と戦争ができる法整備をおこなってきた日本。
現在も愛国心を強要する「教育基本法の改正」や
言論の自由を抑圧する「人権擁護法案」が検討されています。
また、世界的には「テロとの戦い」というかけ声のもと、実体の見えないテロリスト組織に対して先進諸国首脳が団結して戦いを挑もうとしています。
911事件以来、米国・英国では、予防原則の名の下に証拠がなくても「将来、テロを犯す危険がある」というだけで次々と拘束される人々が出てきています。
真の民主化を求める人たち、あるいは人権保護や環境保護の活動家が「テロリスト」と呼ばれ、弾圧・攻撃される日が来ないことを祈るばかりです。
【2005.8.24】