国際通貨基金(IMF)
<2005.08.28>
IMFは、1944年7月、米国ニューハンプシャー州ブレトン・ウッズで開催された国連会議で設立が提案されました。
そこでは45カ国の政府代表により1930年代の大恐慌の原因となった経済政策の大失敗を繰り返さないための「経済協力の枠組み」について合意がなされたのです。
IMF協定第1条では、IMFの目的について
「IMFは国際的通貨協力の推進、国際貿易の拡大とバランスのとれた成長の促進、為替安定の促進、多国間決済システム確立の支援、国際収支上の困難に陥っている加盟国への(適切なセーフガードの下での)一般財源の提供をその責務とする」
と述べています。
つまり国際金融システムの安定を確保することがIMFの役割とされています。
IMFの問題点については前述いたしましたが、では、このIMFは、どのような組識で、どのように運営されているのでしょう?
まず、組識図のトップには最高意志決定機関である「総務会」があります。
これは、全加盟国184カ国の代表(財務大臣あるいは中央銀行総裁)で構成されています。これらの代表が年1回秋に集まり世界銀行と合同で年次総会が開催されます。
その下に「暫定委員会」(総務会の諮問機関)、
その下に「理事会」(IMFの執行機関)、
以下、理事会より選任された「専務理事」「副専務理事」(伝統的に専務は欧州、副専務は米国より選任)「事務局」というような組識構成になっています。
次に、意思決定の仕組みですが、これが「出資額=発言権」なのです。
各加盟国は出資額をIMF独自のSDR(特別引出権)という単位で「クオータ」(出資額割当率)として表されます。
1SDRは約1.35ドルです。
投票権は各国の「クオータ」によって異なり、各国がもともと持っている250票に、クオータ10万SDRごとに1票プラスする計算式により算出されます。
例えば−
A国のクオータが 200万SDRなら、250+( 200万/10万)=270票
B国のクオータが1000万SDRなら、250+(1000万/10万)=350票
となるのです。
98年1月現在の総資金額は2120億SDRで、出資比率の上位10位は下記のようになっています。
順位 国名 出資比率
1位 | 米国 | 17.50% |
2位 | 日本 | 6.23% |
3位 | 独 | 6.14% |
4位 | 英・仏 | 5.07% |
6位 | 伊 | 3.33% |
7位 | サウジ | 3.30% |
8位 | 加 | 3.00% |
9位 | 露 | 2.80% |
先進国が出資率の63%以上を持っているので、途上国の言い分はほとんど通りません。
また、主要な決定は85%の得票を必要としますので、17.5%の出資率を持つアメリカの同意のないものは可決できないことになります。つまり、出資率1位の米国の意見がIMFの意見となり、IMFは米国の利益に貢献するように動かざるをえないということになります。
○最高意志決定者⇒米国財務省長官あるいは米国連邦準備制度理事会(FRB)議長