コラム
■ レント・シーカーたちの狂宴‐利権に巣くう魑魅魍魎−
関連page:日本は官制経済国家英語でRent seekers(レント・シーカー)という言葉があります。
レント・シーカーとは「公的なものを利用して自分の利益を誘導する人々」のことです。
例えば、
- 市場に政府が介入すると、それを利用して利益を得ようとする政治家が現れる。
- 規制をつくれば、そこには利権が発生する。
- 規制によって官僚は権限をふるうことを許され、規制された市場では企業が独占的な利益を手にし、これらが既得権益と化す。
- 政治家は、自分の支持基盤となる団体や業界のために、規制をつくり、便宜を図り、その見返りとして献金や票を集める。
このように自由市場では生じえない政治的利益を「レント」と呼び、圧力団体やロビー活動によってレントを求める行動を「レント・シーキング活動」と呼びます。
特別会計や財政投融資はレント・シーカーたちの温床になっています。
ダム、高速道路、スーパー林道、原発、揚水発電、リゾート開発、港、空港、ODA、
そして世界銀行やIMFへの融資等、環境破壊や社会問題を引き起こしている様々な開発の資金源は、この財政投融資から出ていて、いずれも累積赤字を計上しつづけています。
レント・シーカーが増えると
- 国有財源で不急不要な事業が自己増殖的に行われる。
- 硬直的で過大な資源配分が行われる。
- 多額の繰越金や剰余金が放置される。
- 一般会計からの繰り入れなどにより、受益者と負担の関係がまったく不明になる。
という弊害が起き、レント・シーカーが増えるほど国家は疲弊します。
彼らが自らつくり出した赤字に寄生して生きているからで、赤字を減らせば彼らの利益は消失してしまうからです。
【2005.8.15】