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コラム

■ チューリップ投機 −世界初のバブル−

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もう一つ、株にまつわる歴史的な事件をご紹介します。世界で最初に起きた典型的な「バブル」です。

1634年、当時のオランダは平和が続き、海洋貿易で富を蓄え、国力が衰退したスペインにかわり、世界の覇権を握りつつありました。
オスマン=トルコから入り品種改良を重ねられた美しいチューリップは、富の象徴としてオランダで大流行。豊かなオランダには、お金が余っていましたから、人々はこぞって球根を買い漁るようになり、価格が急騰しました。特に珍しいチューリップの球根の値段は、限りなく上昇し、ついに投機の対象になっていきます。

チューリップ自体には特に関心がない人も、値段が上がりそうだと言われているので買い求める。すると、実際に値段が上がる。それを見て、人々は自分の予想が当たったとして更に自分の予想に自信を深め、更に買い求める。するとまた値段が上がる…という構図です。
買えば確実に値上がりするチューリップに、お金持ちも普通の市民も財産をつぎ込んでいきました。
また「一定期日に球根を入手できる契約書」の売買、今で言うところのオプション取引もさかんに行われるようになりました。
そして、センパー・アウグストゥスという種類の球根は、1個2000ギルダー(市民の平均年収の8年分)から6000ギルダーにまで高騰したのです。ブームの最高潮の時には、球根1つに当時の平均的な労働者の年収の10倍もの値段が付いたということです。
今の日本の平均的なサラリーマンの年収を400万円くらいだとすると、球根1つに4000万円くらいの値段がついたわけです。

しかし、1637年のある日、所詮はチューリップの球根であることに皆が気づいたのか、球根の価格は、突然、暴落しました。
球根は、貴重な財産から、ただの球根に戻り、多くの人は財産を失いました。また、借金で投機を行っていた多くの人は破産していきました。

この影響を受け、オランダ経済全体が長期間の深刻な不況に陥ったそうです。そして、これを機に世界経済の中心地はロンドンに移っていきました。

今も昔も人間のやることにはあまり変わりがないようです。「歴史は繰り返す」とか「喉元過ぎれば熱さ忘れる」とか言われますが、いったい人間は何度同じ過ちを繰り返せば学習することができるのでしょうか?

【2005.8.31】

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