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コラム

■ 自給自足から賃金労働への転換 −資本主義発展への道筋(1)−

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資本主義の発展において欠かすことの出来ない重要な歴史的事件としてエンクロージャーがあります。

エンクロージャーは、16〜18世紀のイギリスで、領主などがそれまで共同で利用してきた放牧地、耕地などを囲い込み、私有地にしていった動きで、いわゆる囲い込み運動といわれるものです。
16世紀の第1次エンクロージャーは、共同用地を羊毛工業のための牧場へ転化することが目的でおこなわれ、18世紀後半の第2次エンクロージャーは、売値の高い穀物を効率よく生産するための大規模農業へ転換することが目的でおこなわれました。

エンクロージャーによって大量の貧しい農民が農地から追放されましたが、1662年に制定された定住法によって教区内から出ていくことはできませんでした。
それまでは小規模農園による自給自足的な生活がほとんどだったので、当然、彼らが雇用される機会は多くはなかったでしょう。
しかし、流民・浮浪者に対して労働の義務をも課す法律もあったのです。

「老いて労働能力なき乞食は乞食免許を受ける。これに反し、強健な浮浪者は鞭うたれ、監禁される。彼らは荷馬車の後につながれて体から血が流れるまで鞭うたれ、しかる後、自分の出生地または最近三年間の居住地に帰って『労働につく』誓いを立てなければならない。」

この条例は、後に改悪されて、2年間労働しなければ死刑にするとされました。

経済人類学者のカール・ポラニーは経済社会学の古典ともなった『大転換』の中で第1次エンクロージャーについて次のように描写しています。

「囲い込みは、正しくも貧民に対する富者の革命と呼ばれてきた。領主と貴族は、時には暴力的手段を用い、また、しばしば圧迫や脅迫によって、社会的秩序をくつがえし、旧来の法と慣習を破壊しつつあった。彼らは文字通り貧民から共同地用益権を奪い取り、またそれまで慣習の犯しがたい力によって貧民が彼らおよび彼らの子孫のものと久しく見なしてきた家作を奪い去りつつあった。社会の骨組みは崩壊に瀕していた。荒廃した村落と廃墟と化した住居が、荒れ狂った革命の激しさを物語っていた。この革命は国土の防衛を危険にさらし、都市を衰弱させ、多くの住民を殺害し、負担のかかりすぎた土壌を塵あくたに変え、人々を苦しめ、礼儀正しい農夫を乞食や泥棒の群れに変えた。」

第2次エンクロージャーは、大地主とその地主から借りた土地を経営する農業資本家、そして賃金労働に従う農業労働者という三つの階層を成立させました。改良のための固定資本を地主が、運転資金を資本家が、労働力を労働者が提供するこの"三分割制"は、近代的・資本主義的なイギリス農業の特徴となりました。

農地から追放された人々は、農業労働者あるいは工業労働者となり、産業革命を経て今日の労働者階級の祖先となります。
また、彼らは本国の産業に必要な原料を生産するため(同時に、本国の製品を買わされるため)に植民地に送られました。

その植民地の中の一つが、今日の覇権国家アメリカ合衆国です。

【2005.9.2】

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