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<第4章 お金の秘密>日本人が知らない 恐るべき真実

第4章 お金の秘密−目次>>お金のシステムがもたらす問題

お金のシステムがもたらす問題

<2005.09.09>

さて、これまでお金の歴史をたどりながら、お金がどうやって今の形になってきたのかをみてきました。
次に、このようなお金のシステムは、社会にどんな影響を及ぼすのかをみていきたいと思います。

まずは、私たちが日常使っているお金は、どのようにつくられているか、拙著『だれでもわかる地域通貨入門』から引用してご説明しましょう。
(※若干、内容は加筆・修正しています)

〔二種類のお金〕

いまや私たちの生活にとってお金は欠かせません。何をするにもお金が関わってきます。
このお金には、よく考えてみると二種類あるといえるのではないでしょうか?

私たちが普段使っているのは日本銀行券です。
「千円札」「ニ千円札」「五千円札」「一万円札」ですね。

これは市中銀行にとっての銀行、つまり中央銀行が発行したお金です。
日本銀行券自体は、いつまで持っていても千円は千円です。

しかし、この日本銀行券は貸し借りされています。
借りたお金も、もちろん同じお金として使えますが、日本銀行券と違うところが一つあります。

それは「利用するのに利子を支払う必要のあるお金」だということです。

取引をするにはお金が必要です。
しかし、日本銀行券はその取引をまかなえるほどの量は出回っていません。市中に78兆円くらいしかないのです。足りない分は貸し借りを通して都合をつけていくほかありません。

〔死のギャンブル〕

もし、お金が充分あれば何も利子のつくお金を借りる必要はないですよね。
つまりお金は取引で必要とされている分より少ない程度にしか出回っていないのです。古より伝わる「希少性」というものに基づいたままなのです。

必要量より存在量が少ないということは、当然、そこで競争が発生します。
そうするとお金に「利子」という利用料が成立してしまいます。
これは誰かが生産したものを先取りすることに通じます。

利子はお金を持っている者がそれを貸し付けただけで請求できるもの、社会の富に何も付け加えていないのに、富に対する請求権を主張するものだからです。
これはよく椅子取りゲームにたとえられるものです。
ゲームが始まる前に椅子が取り去られますね。その椅子が利子なわけです。

普通、お金を借りる時には担保が必要です。
担保という言葉は英語でMortgageと言い、元々はフランス語に由来していて、前半のMortは死を、後半のgageはギャンブルを意味しています。
つまり、財産を担保として借金をするということは「死のギャンブル」に通じるのです。

お金を借りれば元本+利子を返さなければなりません。
しかし、実際には、世の中に出回るのは元本の分だけで、利子の分は世の中に出回っていないのです。

返済額は貸出額より常に大きい。

この差額は、誰かが借りた元本分を奪ってこなければ返済できないのです。
これは社会がなぜ競争を助長するのかを考えるにあたり、非常に重要なポイントです。

不足している利子分の争奪戦に負けた者は財産を没収されていきます。
どれだけの人間が生き残れるか、それは利子率に大きく依存していると言えるでしょう。

〔無から生み出されるお金〕

紙幣を発行しているのは日本銀行だけですが、他の銀行も「信用創造」という形でお金をつくりだしています。【※1】

たとえば私たちが銀行にお金を預けた場合、これは私たちにとって「資産」となりますが、銀行にとってはいつか返さなければならないお金ですから「負債」となります。
でも、この預金を銀行は金庫にしまっておくわけではありません。
預金者は必ずしも全額おろしにはきませんから、いくらかの支払い準備金をとっておいて、残りのお金を他人に貸し出します。

そのとき借り手は現金で借り入れをするわけではありません。
その銀行に口座がつくられるわけです。
その口座も一度に全額おろされるわけではありませんから、決まった支払い準備金を残して貸し出されます。

この貸し出した金額は、銀行にとって「資産」となります。

例をあげてみましょう。

もし、1000人から10万円ずつ預金があれば1億円になります。

預金者はすぐに全額を引き出すことはしませんから、
10%(1千万円)の支払い準備金を残して差額の9千万円をA社に貸し出します。
この9千万は銀行の「資産」ということになります。

この9千万円を元手に、また
支払い準備金として10%(900万円)残し8100万円をB社に貸し出します。
正確にいえば
B社の預金口座に8100万円が振り込まれ、数字上だけ8100万円の新たな預金が発生します。
銀行は、ただ単にB社の口座に8100万円と印字すればいいだけです。
(この預金を派生預金といいます)。
実際に紙幣という形で、お金が増えるわけではありません。

この手順で貸付けを繰り返していくと
1億円の預金から9億円のお金を生み出すことができます。

これは銀行のみに与えられた特権で「信用創造」といいます。
こうして銀行は右から左にお金を動かすだけで次々にお金を生み出すことができるのです。

そして、このとき貸し出されたお金は、みな「利子」という使用料のかかるお金なのです。

【※1】 民間銀行による信用創造の大きさは中央銀行のハイパワードマネー(現金通貨(日銀券+補助貨幣)と、民間金融機関の法定準備預金=日銀当座預金の合計)の供給量によって制約されています。

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