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エネルギー自給も、やはり政治の独自性とセットです。
なぜ自然エネルギーが普及しないのかと言えば、簡単に言えば「普及させる気がないから」です。
石油業界、あるいは原子力業界からの圧力もあるでしょうが、一番の理由は利権です。
政治家・官僚は、金のなる木である石油・原子力の利権を手放したくないんです。
例えば、原子力発電所を一基つくるのに3000億円〜4000億円かかります。
ゼネコンと政治家の間には5%をキックバックするルールがあると言われていて、3000億円の建設費ならば150億円が誘致した政治家に還元されるそうです。
こんなおいしい利権、手放せませんよね。(苦笑)
必要な業界に、必要な資金を与えれば、必ず伸びることはできます。
だから、我々がすることは、代替エネルギーの分野に投資するよう働きかけることです。
そして、目指すは脱・石油、原子力です。
その理由は主にこの四つです。
大気汚染、水質汚染、土壌汚染、ダイオキシン、環境ホルモン、等、ほとんどが石油や石油原料の化学製品によります。 それと、原発による放射能汚染も危険です。
ヘンリー・キッシンジャーは「エネルギーをコントロールすることで国家をコントロールできる」と語っています。
これは説明の必要はないでしょう。
国際情勢が不安定になれば、ただでさえ高くなっている石油がさらに高騰します。イランが戦争を始めれば1バレル200ドルにはなると予測されています。
また、もしイランがホルムズ海峡を封鎖すれば、石油の90%を中東に依存している日本は、経済活動がマヒしてしまうでしょう。
それから、原発で怖いのは、やはり事故ですね。
この地震国である日本に原発が54基もあること自体、危険なんですけど、さらに信じられないことに、浜岡、柏崎刈羽、島根、伊方、美浜、敦賀、そして高速増殖炉もんじゅの近辺には活断層があります。
特に、浜岡原発は活断層の真上にあり、東海大地震は必ず来ると予測されています。そうなれば、首都圏は壊滅です。ですから、直ちに原発は撤廃すべきです。
イラク、アフガン、スーダン、コソボ、チェチェン、東ティモール、新疆ウイグル、等々、戦争や紛争があるところに、必ず石油や鉱山の利権が絡んでいます。
“No war for Oil”とか「石油の一滴は血の一滴」なんて言葉がありますが、人類はまさに石油を巡って血を流し続けてきました。
脱・石油は、脱・争いです。
以上の理由から、私たちは石油や原子力に頼る生活から抜け出さなければならないと思っています。
新エネルギーとしては常温核融合など、非常に期待できる技術も開発されてきていますが、とりあえず今回取り上げるものは、すでに技術的には問題のないものに絞っています。
代替エネルギーとして一番現実的に期待されているものは、メタンハイドレートです。
これは、天然ガスの主成分であるメタン分子が低温高圧の条件下で、水分子の結晶構造の中に取り込まれた氷状の固体物質です。
日本近海の海底地層内に世界最大のメタンハイドレートが埋蔵されていて、1996年の試算によれば日本周辺のメタンハイドレート資源量は推定7.35兆m3。日本が消費する天然ガスの約96年分にもなります。
ただ、現在のところ採掘にかかるコストが高いので、商売としては成立していませんが、今後、石油のコストが上がった場合は、日本が世界最大のエネルギー資源大国になる可能性もあります。
問題点としては、石油や石炭に比べ燃焼時の二酸化炭素排出量がおよそ半分なんですが、メタンは二酸化炭素の20倍もの温室効果があります。まぁ、それも12年程度で大気中で分解するので、あまり一気に大量に排出しないよう制限すれば、ほぼ問題ないでしょう。
次に期待できるのは、自然エネルギーですね。
風力発電、太陽光発電、太陽熱利用システム、マイクロ水力発電、バイオマス発電、廃棄物発電、地熱エネルギー利用、等々ありますが、中でも有望なのは風力発電でしょう。
日本風力エネルギー協会によれば、海洋上の沖合い1〜3kmの地点等も含め、500kw前後の風力発電所を設置可能な地点は、日本国内だけで41万個所=総計2億kw超あります。
※日本の過去最大の電力需要は1億8200万kw。
世界全体では約72TWが風力によって発電可能とされていて、これは世界全体の電力需要量14TWの約5倍に相当します。※T=テラ=1兆
風力発電で問題とされるのはコストですが、現在、1kw当たり10〜14円とされています。ただ、米国では4円まで下がっています。
原子力発電の発電コストは5.9円とされていますが、補助金とか外部コスト化されたものや廃棄物の処理費用が含まれていないので、実際は13.2円と言われています。ですから実際には、もう既に風力発電の方が安いんですね。
日本国内で利用可能な建屋の屋根や壁面、遊休地に設置したと仮定すると、設備容量にして約207GWが設置可能です。 ※G=ギガ=10億
年間総発電量は約217-228TWhとなり、日本の年間総発電量の約21〜22%に相当します。
※日本の年間総発電量は約1028TWh。
太陽から地球全体に照射されている光エネルギーは約180PW。 ※P=ペタ=10の15乗
実際に利用可能な量は約1PWで、これは現在の人類のエネルギー消費量の約50倍にあたります。
もし、ゴビ砂漠の半分に太陽電池を敷き詰めれば、全人類のエネルギー需要量に匹敵する発電量が得られると言われています。
電気自動車の性能も凄く進んでいて、慶応大を中心に開発しているエリーカは時速370km/hで、ポルシェよりも加速が速い。燃費も凄くて100円の電気代で100kmの走行が可能だそうです。
また、三菱のiMiEVは2010年に市販される予定で、こちらも実際に試乗した人によれば、騒音も振動もなく、まるでロケットに乗っているみたいと好評でした。
電気自動車の問題点は、連続走行できない事で、どうしても充電するのに時間がかかる。ただ、エリーカもiMiEVもリチウムイオン電池を使っているのですが、キャパシタという蓄電器を使うことによって、5分の充電で800km走る車も開発されているので、今後、まだまだ改良されていくことでしょう。
燃料電池の自動車も、トヨタ、ニッサン、ホンダの三大メーカーが既に開発済みで、日野のバスなんか実際に走っています。
ただ、燃料電池の場合、燃料となる水素の供給が課題でした。
と言うのは、水素を製造するのにもエネルギーが必要で、それなら化石燃料をそのまま燃やした方が効率的となってしまうからです。
しかし、今年の三月、朗報が入りました。この新聞記事をご覧ください。日大工学部が安価で簡単に製造できる技術を開発したのです。
環境技術開発のベンチャー企業ライブニュー(東京)は18日、日大工学部(福島県郡山市)の協力で、特殊な触媒を使って低温下で水から水素を製造することに成功したと発表した。世界初の技術という。安価で簡単に水素が製造でき、クリーンエネルギーの観点から実用化に期待が集まる。
約700度に加熱した水の蒸気を、特殊な熱処理で固めたセラミックなどの触媒に当てるだけで、水素が分離する仕組み。通常の熱分解で水素を取り出すには、約4000度に高める必要があるとされている。
理論的には1リットルの水から1.3立方メートルの水素が製造でき、水の加熱に費やすエネルギーの約4倍のエネルギーが得られる。2年後をめどに商品化を目指すという。
同社が研究拠点を置く日大工学部構内の郡山地域テクノポリスものづくりインキュベーションセンターで記者会見した岩井達也代表は「クリーンエネルギーを化 石燃料からでなく、水から取り出す技術の研究開発は世界中で行われているが、低温下で成功したのは画期的」と強調した。
協力した日大工学部の出村克宣教授は「水素の位置付けは高まっているが、コストが問題だった。安価でしかも簡単に製造できることに大きな意味がある」と話した。
2008年03月18日火曜日
そこで私が提案したいのは、海流発電で海水から水素を取り出し、燃料電池の燃料にすることです。
伊豆半島や房総半島の鼻先に、黒潮という膨大なエネルギーが永久的に流れています。黒潮の幅は約100kmで、最大時速は最大で4ノット(約7.4km/h)。
この無尽蔵なエネルギーで海流発電し、作った電気で海水を水素にし、船でピストン輸送する。そうすれば、安価でクリーンなエネルギーが無尽蔵に使えるようになります。