Anti-Rothschild Alliance

HOME

資料室

HOME>>講演録 TOP>>未来への提案 TOP>>金融の独自性

 

金融の独自性
〔ロビー活動 / シンクタンク〕

貨幣発行権は政府にあり

金融の独自性の確保は、政治の独自性の確保とセットです。
政治の独自性が確保できなければ、金融の独自性も確保できないでしょう。
そもそも貨幣の発行権は政府にあります。
『通貨の単位および貨幣の発行に関する法律』第4条では、貨幣の製造および発行の権能が政府に属するという「政府の貨幣発行特権」が明記されているんです。
しかし、実際は、皆さんが使っているのは銀行のおカネです。
リンカーンやケネディが暗殺されたことでわかるように、銀行からの借金という形で成り立つおカネは、彼らの力の源なんです。
彼らの力を弱めるには、銀行からの借金を減らす必要があります。
企業はお客が買わなければ存続できません。だから、彼らの企業からはモノを買わない。
同じように、誰も銀行から借金しなくなれば、彼らの支配力・影響力は弱まります。
ただ、急激な変革は社会に混乱をもたらしますから、徐々に銀行券の使用量を減らしていくようにします。

陽経済と陰経済

地域通貨の研究者ベルナール・リエター氏が提言している未来の貨幣システムを私なりに改訂したものです。
道教の太極の図を利用して、経済を陰経済と陽経済に分けています。

陽経済は国家通貨を使った今の貨幣システムですね。
特徴としては、希少性に基づいている。
競争と成長を助長するものである。
銀行がコントロールしていて、自分たちではどうにもできないから、他律的である。
匿名性がある。
お金を使えばある程度なんでもできますから、自由。
ただ、お金さえあれば良いということになり、人との関係性が薄れたり、お金を巡るトラブルで孤独になる傾向がある。

陰経済は地域通貨あるいは政府貨幣や地方通貨を使った貨幣システムです。
地方通貨というのは、地域通貨の使用範囲が非常に狭いの対して、ある程度規模を大きくして、自給自足が出来る程度の領域を設定して、その範囲で流通させるものです。
例えば、北海道なら自給自足できますが、東京では無理ですね。
そういう意味で、経済圏としての道州制の導入も合わせて考える必要があると思います。

特徴しては、必要性に基づいて発行される。
協働作業を促すものである。
比較的安定した経済を築ける。
自分たちでコントロールできるから自律的。
その分、公平性を担保するために情報公開が必要とされます。
使える範囲が用途が限定されるので不自由。
でも、連帯を促進する効果を持つというものです。

陽経済は、物理資本+金融資本を育てるのに適している。
物理資本とは工場や設備など。金融資本とは株や債券などですね。

陰経済は、自然資本+社会資本を育てるのに適している。
自然資本とは、きれいな水、きれいな空気、豊かな森など。社会資本とは、福祉、安全、教育などですね。

私の独自の解釈を加えるなら、事業には大きく分けて二種類あります。
それは投資を回収できる収益性のある事業と、投資を回収できる見込みはないけれど必要性のある事業です。

収益性のある事業なら、陽経済。
収益性はないけれど国民にとって必要な事業は陰経済。
ここに利子のつかない政府貨幣あるいは地方貨幣を使うようにしたいと思ってます。
インフラ整備、農業、福祉、介護、環境保護、教育などの分野が相当します。

これまでは、陰の部分にはおカネが投資できないから、陽の部分で余剰利益を出してもらって、それを国家の再分配機能を使って陰経済に投資するか、不足分は国債などを発行してお金を回す形を取ってきました。
要は、その、これまで借金になってしまっていた部分を、借金にならないおカネに置き換えていくということです。

さらに別の分類法を加えるなら、外部通貨と内部通貨とに分けられます。
他の共同体と交易するために使う通貨と、共同体内部で流通する通貨を、別な通貨を用いるというのは、おカネの長い歴史を見れば決して珍しいことではありません。
例えば、日本でも江戸時代、日本全国で通用する金貨・銀貨の他に、藩の中だけで通用する藩札がありました。
現在でも、イギリスのブリテン島とアイルランド島の間にあるマン島では、マン島政府が発行する政府通貨と、イングランド銀行の発行するポンドが同時に流通しています。
このような一国に複数の通貨が流通することを並行通貨制度といいますが、 国際競争力のある企業には陽経済で頑張ってもらって、競争力はないけど国民にとって必要なものをつくっている企業は陰経済で頑張ってもらうのが良いかと思います。

もうひとつ、経済を考える時に重要な要素が、国家のライフサイクルです。
人間に誕生・成長・成熟・老化というライフサイクルがあるように、国家にも混乱期・成長期・成熟期・衰退期があります。
成長期には、陽経済というのは、非常に優れているんですね。ターボ付きエンジンみたいなものですから。
ただ、日本は、戦後の混乱を乗り越えて、高度経済成長があり、バブル崩壊があって、今は衰退期に入っていると言って良いでしょう。
これを再度、成長期に乗せるには、戦争で一度全部破壊して再建するか、技術革新を起こして古いものを一新するか、どちらかという選択肢になります。
戦争という選択肢は、選びたくありませんよね。
技術革新という可能性は、あるとは思いますが、不確定であり、それが起きる前に相当なダメージを受ける可能性があると思います。
経済成長を続けなくても安定的に社会を運営するには、陰経済のウェイトを大きくしていく必要があります。
そして、陰経済の比重が大きくなれば、銀行家の支配力・影響力を弱めることができます。

このページのTOP