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おカネの問題点

今行なったゲームは、お金の仕組みを非常に単純化し、その問題点を体感してもらうためのものです。
実際のお金の仕組みは、勿論もっと複雑ですが、基本的な構造は変わりません。
では、もう一度復習してみましょう。

銀行によるマネー回路 −貸し出し局面−

これは、銀行によるマネー回路を図にしたものですが、まずは貸し出し局面です。
お金を必要としているAさんが銀行からお金を借ります。その際、Aさんは融資金額に相当する担保を銀行に入れます。
Aさんは、基本的には大企業ですね。
Aさんは銀行から借りたお金を使って事業のために投資します。人件費やら原材料費やら設備投資などですね。ただ、分散するとわかりづらいので図では一本化してあります。
AさんはBさんにお金を渡し、Bさんから何かしらの財かサービスを受け取ります。
BさんはAさんから受け取ったお金をCさんとの取引きの時に使用し、Cさんから何かしらの財かサービスを受け取ります。
以下、同様にDさん、Eさん、Fさんと取引きが繰り返され、最終的にFさんがAさんの生産した財かサービスを受け取った時、Aさんにお金が戻ってきます。

銀行によるマネー回路 −償還局面−

続いて償還局面です。 Aさんは銀行から借りたお金、元本に利子を付けて返さなければいけません。返せなければ担保に入れていた財産を取られてしまいます。
しかし、このマネー回路の中に利子分のお金はありません。元本だけです。
利子を付けて返すには、他のマネー回路から、利子分のお金を持ってこないといけません。
つまり、利子とは単なる数字であって、実際には存在しないお金なんです。
これは椅子取りゲームに例えられます。皆が椅子に座ろうとするけれど、全員分の椅子はありません。必ず椅子に座れない人が出てきます。

地域通貨のマネー回路

さて、実は、このゲームで一番初めにやった状態、それが地域通貨のマネー回路です。
お金は、この回路の中をグルグル回っているだけの状態ですね。
つまり、地域通貨とは、財やサービスの等価交換システムなんです。
勿論この中にもお金儲けの上手い人、下手な人がいます。多少の貧富の差というのは出てくるでしょう。
一番の違いは、このお金は借金ではないので、貨幣システムのせいで破産したり、私財を没収される人が出てこないところです。

お金のシステムがもたらす問題点(1)

もう一度、整理してみましょう。
利子はバーチャルな数字であって、実体のないお金です。
利子分のお金は、椅子取りゲームのように、誰かから奪わなければ支払えません。だから、椅子を巡って激しい競争が行われます。
そして、全体でみれば、貸出し金額より返済金額の方が常に大きい。借金を完済しようと思えば、さらに新たな借金をしないと出来ない仕組みになっています。これを無限の借金ループと呼びます。
フォード自動車の創業者ヘンリー・フォードは「金融業者たちの目的は、消滅不可能な債務の創造による世界支配である」と語っています。

どんな事業を行うにも、まずは資本の調達が必要です。株や社債を発行したり、金融機関から借り入れる等の方法がありますが、これらのお金には必ず利子がつきます。
そして、この利子を誰が支払っているかと言えば、直接的にはお金を借りた事業者ですが、実際には利子や配当も経費として価格に含まれるので、間接的に私たち誰もが負担しているのです。
ドイツでおこなわれた調査では、商品やサービス価格の25%〜35%は、利子ないし資本部分ということでした。

お金のシステムがもたらす問題点(2)

たとえば、100万円借りて元本の100万円のみ返せばよいのなら経済は成長させなくてもすみますが、100万円借りて元本+利子で110万円返さなければならないとなると、10万円分売上げを増やさなければならない。つまり経済成長しなければならないのです。
もう一つ、このシステムでは利子率を上回る収益を出せる事業にしか投資できないという問題があります。
しかし、必要な事業が必ずしも収益を出せるわけではありません。
収益は出ないけれども私たちにとって必要な事業というのはたくさんありますが、そういう事業には投資されることは、まずありません。

それと、ご存知の通り、地球は有限です。私たちの経済活動というのは、地球の生産能力および浄化能力の範囲内でしか持続的におこなうことはできません。
ですから、経済成長を続けていけば、やがて環境的破滅に行き着きます。
しかし、今の貨幣システムでは、経済的な破綻か環境的な破滅か、どちらかという選択肢しかありません。

かつては、経済が成長すれば皆が豊かになるとされていました。しかし、実際には経済格差が拡大するのみでした。
破産者が増えれば消費が止まり、成長も止まります。

このような行き詰まりを解消するために、戦争で全て破壊して一からつくり直す、スクラップ&ビルドなんてものがおこなわれる要因にもなります。

お金のシステムがもたらす問題点(3)

成長がもたらすもう一つの問題は、時間との兼ね合いですね。
1日は24時間、1年は356日でしかありません。来年になったら1年が380日になったなんてことは有り得ないですよね。
時間は不変だけれども、売上は伸ばし続けなければならない。
価格を上げれば競争に負けてしまいますから、簡単に値上げすることも出来ない。
そうなると、行われることは、効率化、合理化、リストラというものですね。
一定の時間の中でぎゅっと作業を圧縮しておこなうことになります。
リストラとして最も行われていることは人件費の削減、つまり人を減らすことです。
だから、一方では精神的ゆとりを失ったり、過労死するほど忙しい人がいるなかで、他方では仕事のない人が溢れるという現象が起きます。
この先、ますますRace to the bottomと呼ばれる状態が加速していくでしょう。
つまり、いかに長時間、安い賃金で、過酷な労働をさせるか、底辺に向けての競争が行われる社会です。

再びワークショップを振り返ってみましょう。
破産者は圧倒的に不利な状態に置かれますね。お金を必要としている所には、更に高い利子がつきます。
そして、破産者は自分の存在価値を見失ったり、社会や人間への不信感を募らせることになるでしょう。
それは、モラルの喪失や、犯罪や自殺の原因ともなります。

この破産した人たちを通常は社会保障で救済します。つまり、破産者が増えるほど、まじめに働く納税者の負担が増えることになります。
でも、このゲームの勝者、資本家には有利な選択肢があります。
この地域が貧乏人ばかりになって売上が伸びなくなれば、更なる利益を求めて移動することができます。
しかし、住民はそれに伴なって移動するというわけにもいきませんよね。
資本家が地域の外に出れば、この地域からお金や雇用がなくなって、更に貧しい状態に置かれます。

ただ、このゲームの本当の勝者は、実は資本家ではありません。誰だかわかりますか?
そう。銀行家です。銀行家が何をしたかと言えば、ただおカネを印刷して皆さんに配っただけ。
それで皆さんの労働の成果である元本+利子、あるいは破産した人からはお店の権利をもらいました。
実に素晴らしい商売です。(笑)

さて、ここまで銀行による貨幣システムの問題点をみて来ましたが、銀行員がみんな悪いと言っているわけではありません。おそらく銀行に勤めている方は、真面目で勤勉な方がほとんどでしょう。
問題はシステムなんです。
銀行は利潤目的の機関であり、決して国民の生活を守るために設けられた機関ではありません。

地方から中央へのおカネの転移

次に、銀行システムを通した、地方から中央へのおカネの転移についてみていきましょう。

地方で、企業や商店、あるいは個人が一生懸命働いて稼いだお金は、銀行の支店に預けられます。
この預金は各支店から中央の本店に流れてゆき、本店は安全・確実に資金を増やすために、大企業や多国籍企業に貸し付けたり、あるいはヘッジ・ファンドなどで運用します。
そこで得られた利益の一部が預金者にわずかな利子として還元されますが、地方の企業に投資されることはあまりありません。
しかたなく国が再分配機能を発揮して、地方交付税や公共事業という形で地方にお金を流します。
本来なら、その資金は国税から捻出するものですが、現在その余裕はなく、国債を発行して、その原資としています。
こうして地方へ流したお金も、やはり銀行の支店に預けられ、同じような経緯をたどって、大企業や多国籍企業、投機屋を太らせ、地方を痩せ衰えさせる結果となります。

新しい貨幣システムを創造しよう

こうしてみていくと、現在起きている問題の多くは、ほとんどがこの貨幣システムに起因していることをご理解いただけると思います。
アインシュタインの「問題は、その問題を引き起こした考え方と同じ考え方をしているうちは解けない」という有名な言葉があります。
つまり、このシステムに手を付けない限り、自民党だろうが民主党だろうが、誰が政権を取っても、何をやっても状況は変わりません。
問題を解決するには、まったく違う発想をする必要があります。

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