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まずは基礎知識です。このあと必要になりますので、まずは次のことを頭に入れておいてください。
景気拡張のサイクル
所得が増える→消費が増える→生産が増える→また所得が増える→また消費が増える→また生産が増える→またまた所得が増える→(繰り返し)
景気後退のサイクル
所得が減る→消費が減る→生産が減る→また所得が減る→また消費が減る→また生産が減る→またまた所得が減る→(繰り返し)
現在、米国は深刻な経済危機に直面しています。
世界一の消費大国である米国の消費が減れば、世界全体に影響が出ます。
米国の消費減が落ち込めば、米国への中国の輸出が減り、米国と中国で消費が減れば、両国への輸出に依る日本の景気は、当然、ダメージを受けます。
そして、日本企業の業績が悪化すれば→生産の縮小→リストラ→失業者の増加や収入減→消費が減る→生産が減る→所得が減る→また消費が減る→繰り返しという景気後退のサイクルに突入します。
もともと中国のバブルはオリンピックまでと言われてきましたが、わざわざバブル崩壊まで待っている投資家はいないので、既に中国への投資は逃げ出し始めています。
株価も昨年10月の最高値より半値近くまで下落していますね。
消費が減れば物が余って、物価は下がる(=デフレ)はずですが、実際は原油価格と食糧価格の高騰(=インフレ)が続いています。
景気の悪化とインフレが同時に進行することをスタグフレーションと言いますが、国家破産した国は、ほとんどこのスタグフレーションから始まっています。
景気対策として考えられることの一つはケインズ政策で、これは財政支出を増やして有効需要(消費と投資)を増やすというものです。
しかし、日本はケインズ政策のやり過ぎで、G8中最悪の財政状況に陥っています。
2008年5月1日現在のリアルタイム財政赤字カウンタによれば、日本政府の抱える長期債務残高は1199兆5613億円。これは国民一人当たりだと959万円、四人家族だとすれば一世帯当たり3836万円にもなります。
もう一つの方法が減税で、サッチャーやレーガンがおこなった政策ですね。
つまり、消費に使えるお金を増やす→そうすれば生産が増える→所得が増える→また消費が増える→この繰り返しとなります。
ところが、日本政府が行おうとしているのは消費税の増額です。
そんなことをすれば、消費が減る→生産が減る→所得が減る→また消費が減る→繰り返しとなります。
意図的なのか無知なのかわかりませんが、この国の指導者たちは、日本経済をどん底に落とすようなことばかりします。
これは平成19年度の一般会計予算です。
歳入内訳を見ると、税収その他で57兆しかありません。本当は、この範囲に歳出を止めなければいけないのですが、足りない分を借金で補っています。
じゃあ何にそんなにお金を使っているかと見ると国債費と社会保障費と地方交付税等で3分の2以上が占められています。
一般会計における歳出歳入の状況をみると、バブル崩壊直後から税収が減っているのですが、歳出は増え続けており、その分、借金も増え続けていることがわかります。
毎年毎年、借金を増やし続けた結果、国と地方の長期債務残高は773兆円、この他に財政融資資金特別会計国債残高が143兆円程度あるので、合計916兆円になっています。
国債の発行を減らすと公約していた小泉さんが政権を担当していた五年間で200兆円も借金が増えています。
小泉改革なるものが如何に口先だけのインチキであったかが、よくわかりますね。
次は対GDP比による債務残高の国際比較です。
見た通り、日本が先進国中ダントツの第一位ですね。
では、その国債を誰が買っているか?ですが、85%が政府と民間の金融機関です。その原資となっているのは私たちの預貯金、年金、保険金です。
歴史的にみて、どんな大国でも永遠に借金し続けられた国はありません。古くはローマ帝国、最近ではソ連も財政破綻が要因となり滅亡しました。
日本国政府が財政破綻すれば、私たちの預貯金、年金、保険金も吹き飛ぶことになります。
ここまで見てきたのが一般会計予算で、いわゆる表の帳簿です。ただ、日本には特別会計という裏の帳簿があって、これは国会の承認がなくても各省庁がその裁量で自由に使えるおカネです。
平成19年度の特別会計予算は、362兆円。財政規模からみれば、本当の日本の予算は、この特別会計と言えるでしょう。
特別会計の歳出総計から重複計上分を差し引けば純計は175兆。これに一般会計の82.9兆と地方歳出の65.7兆を加えると合計323.6兆円にもなります。
平成19年度のGDPは521.9兆円なので、実にGDPの62%が政府系支出ということになります。
そして、この特別会計の原資も、私たちの預貯金、年金、保険金が多く使われています。
つまり、日本経済の実態とは、私たちの預貯金、年金、保険金を原資とした借金を上から流し込み、政・官・財・ヤクザの「鉄の四角形」がその利権に群がるという構図になっているんです。
次は、貯蓄率と人口における高齢者の割合の推移ですね。
見た通り、バブル崩壊後から貯蓄率は下がり続け、65歳以上の人の割合が増え続けています。
総務省によれば、日本は先進国の中で最も高齢化が進んでおり、今後も一層の高齢化が見込まれています。
2000年には就労人口の3.6人で1人の老人を支えなければならなかったものが、2025年には1.8人につき1人となり、2050年には1.2人につき1人となると試算されています。
これ、支えきれますか?支えられるはずありませんよね。
現在、後期高齢者医療制度が「姥捨てだ!」と批判されていますが、まだまだ序の口ですよ。
本格的な姥捨て社会は、これから始まります。このままいけば…ですが。
国家には国際的に認められた破産法がありませんから、個人のような救済措置がありません。
ジョン・メイナード・ケインズによれば、国家破産には3つの方式があるそうです。
もう一つの方法は、預金封鎖。預金を新旧に分け、当分の間、旧の預金勘定を一定額しか引き出せないようにします。政府が大量に発行した国債を旧勘定にして凍結してしまうんですね。戦後すぐ、日本が2回目に破産した時は、この手法が取られました。
日本の債務所有者は直接的には金融機関ですが、間接的には国民です。
政府には課税権がありますので、大増税をして国民から税金をしぼり取ることができます。
戦後の破産時にも10万円を超える資産に対し25〜90%の高額な財産税がかけられました。
日銀がお札をどんどん印刷することでハイパーインフレを起こすことができます。つまり、貨幣価値を大幅に下落させるわけです。そうすることによって実質的に借金を減らすことができるわけですが、私たちが何年・何十年もかけて貯めてきたおカネも、アッという間に価値を失います。
2002年に米国の金融専門家によって書かれたネバダ・レポートが話題になりました。
米国の金融専門家たちは、日本の財政状態は既に回復不可能で遠からず破産すると予測していて、日本がIMFの管理下におかれたときの措置が書かれていました。
危機的な状況は日本だけじゃなく、先ほど述べたように米国も危険な状態です。
特に、ブレトンウッズ以来続いてきたドルの基軸通貨体制は崩壊寸前になっています。
この10年近く、ドルの基軸通貨体制を崩そうとする動きが世界的に続出しています。
1999年 | ユーロ誕生。 |
2000年 | フセイン、原油の決済通貨をドルからユーロに変える。 |
2001年 | 9.11とアフガン攻撃。 |
2002年 | ユーロ現金流通開始。 |
2003年 | イラク攻撃。イラク原油の決済通貨をドルに戻す。 |
2006年 | ロシア、ルーブルによる石油取引を開始。 |
2006年 | プーチン大統領「ルーブルを世界通貨にする」と宣言。 |
2007年 | イランが「原油のドル決済を完全に停止」と宣言。 現在はユーロ・円で決済。 |
2008年 | メドベージェフ大統領「資源をルーブル決済にする」と宣言。 |
米国は世界一の財政赤字・経常赤字・対外債務国家ですが、それでも何故破産しなかったかと言えば、ドルが基軸通貨だったからであり、特に原油の決済がドルのみで行われてきたことに依ります。しかし、今ではユーロが出来てドルを上回る流通量となり、ロシアやイランといった資源大国がドル以外の原油決済を始めました。
このままドルが基軸通貨の地位を失えば、米国は国家破産となり、世界一の経済大国アメリカの破産は世界恐慌へつながるでしょう。
実は既に昨年の11月、米国の会計検査院は「累積赤字が53兆ドルを突破しており、救済の可能性はゼロに等しい」と実質的な財政破綻宣言をしています。
この危機的な状況に対してFRBがどんな対策をしているかと言えば、緊急融資の増額と金利を大幅に下げることですが、これは逆効果にしかなりません。
金融機関が陥っているのは資金難ではなく、資産価値の下落であり、緊急融資や利下げは一時的な延命効果しかありません。
FRBが巨額の資金を注入するほどドルの発行量が増加し、世界的なインフレが進行します。
そして、ドルを避けた投機資金は商品市場に流れ込み、石油や金や穀物の相場を上昇させます。
また、利下げをすれば、米国の金融市場への資金流入が細ります。
投資家はドル建て金融商品を売って、ユーロや人民元の資産を買う傾向を強めていきます。
つまり、FRBが資金供給や利下げをするほどインフレとドル安がひどくなり、ますます状況は悪化していくだけです。
と言うことは、FRBにはドルを救済する意思がないということになります。
では、いったいFRBは何を狙っているのか?既にドルのクラッシュ・プログラムは完成していると思います。
2010年までには、米国とカナダ、メキシコが一体となって北米経済圏(NAU=North American Union)をつくる構想があり、北米共通通貨アメロ(AMERO)も既に準備が完了しているようです。
つまり、ドルをクラッシュさせ、借金をチャラにし、新たな通貨でやり直すということですね。国家破産の方式に当てはめれば債務帳消し型です。
欧州連合(European Union)、北米連合(North American Union)と来れば、当然、次はアジア連合(Asian Union)という流れになるでしょう。
問題は、国際経済研究所のフレッド・バーグステンが言ったように「日本が人民元ブロックの一員となる」のかどうか、ですね。
今の状況で日本と中国が仲良くアジア連合を組むとは思えませんから、何か危機的な事態が引き起こされて、中国が日本を併合するシナリオが用意されている可能性が十分あります。
ユダヤ・ロビー、サミュエル・バーガーの「中国を強大な軍事国として、新世界秩序に組み込む」という意味は、ここにあるのではないでしょうか?
アジア共通通貨が出来て、ユーロ、アメロとペグ制を取れば、実質的な世界統一通貨の出来上がりです。