2009-01-03
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私は、今、ワシントン市に在る国際通貨基金本部の前に立っています。
この通りを横切る丁度向こう側には世界銀行の本部があります。これらの組織は一体どの様なもので誰がコントロールしているのでしょう、そして、これこそ最も重要な問いですが、彼らは正に巨大な世界的大恐慌を創り出そうとしているのでしょうか?先ずは第一次世界大戦直後の状況に時計の針を戻してみましょう。当時、人々は戦争に疲れ切っていました。国際的な銀行家達は和平の仲裁をすると言う口実の下に自らの権力基盤を更に一層強化する計画を立てたのです。両替商達は国際的な政府のみが世界戦争への流れを食止める事が出来るのだと主張して、3つの柱から成る世界政府、即ち、「国際決済銀行」と称される事になる世界中央銀行、オランダのハーグに創られて「国際法廷」と称される事になる国際司法裁判所、そして「国際連盟」と称される事になる世界立法府の三つに立脚する世界政府を構築する案を推し進めたのです。クリントン大統領の助言者であったジョージタウンの歴史家キャロル・キグリー氏は1966年に出版された「悲劇と希望」と言う本の中で次の様に書いています。
金融資本主義の権力は[一つの]遠大な[計画]を有していますが、それは自分らの手によって金融を支配すると共に各国の政治体制と世界の経済を全体として支配し得る世界的な制度を創り上げる事に他なりません。
この世界的制度は共同で行動している世界中の中央銀行が頻繁に行う会合や会議で密かに合意した事項に基づき封建的に支配する事とされました。
この制度の頂点に居るのは民間の企業体である世界各国の中央銀行が所有して支配しているスイスのバーゼルに在る国際決済銀行です
各国の中央銀行は自国の政府を、自らの能力、即ち、財政融資の制御、外国為替の操作、自国の経済水準の調整によって、
また、自分達に協力的な政治家に対する経済的な見返りをビジネスの世界で与える事によってコントロールする様になったのです。
キャロル・キグリー、ジョージタウン大学教授
国際銀行家達や報道界からの強烈な圧力にも拘わらず、ヘンリー・カボット・ロッジ上院議員が率いる一握りの合衆国の上院議員達は米国がそれらの策動に巻き込まれないようにしたのです。米国の参加を得られる事なく国際連盟は破滅しました。
しかし、全く信じ難い事に、合衆国が世界中央銀行たる国際決済銀行を拒否したにも拘わらず、ニューヨークの連邦準備銀行は傲慢にも自らの政府を無視し、合衆国が遂に公式に引きずり込まれる事となった1994年に至るまで各国中央銀行会議に自らの代表団を送り続けていたのです。
世界政府の樹立に向けた策動が挫折し、銀行家達は旧い常套手段に出ました。つまり、今一つの戦争を起こし、そこで多額の利益を稼ぎながら同時に世界政府への抵抗勢力をすり減らそうと言う魂胆に出たのです。この目的を達成する為にウォール街は、チェース銀行が第一次世界大戦の際にロシアのボルシェビキ革命に資金を提供して支援したのと同様、ニューヨークのハリマン財閥と提携していたテュッセン家の銀行通じてドイツの復興を支援しました。 チェース銀行はロックフェラー家が支配する銀行です。後にこの銀行はウォーバーグ家のマンハッタン銀行と合体してチェース・マンハッタン銀行となりました。そして、それが更にニューヨークのケミカル銀行と合体して、今や、ウォール街で最も大きな銀行となっているのです。
彼らの戦略は功を奏し、第二次世界大戦が終了する以前にも世界政府は既にその実現に向かう軌道に戻りました。1944年、ニューハンプシャーのブレトンウッズで国際通貨基金と世界銀行が合衆国の全面的な参加を得て承認されたのです。第2の国際連盟は「国際連合」と改名されて1945年に承認されました。新たな国際的法廷制度もやがて機能し始める事になります。これらの国際機関に対する戦前の効果的な反対運動は、彼らの企み通り、戦争の真最中に全て蒸発してしまったのです。
これらの新たな組織体は1864年の国立銀行法及び1913年の連邦準備法が合衆国で設立したものを世界的な規模で繰り返し設立しただけのものなのです。
彼らは世界中の中央銀行で構成する銀行カルテルを創り、そして徐々に全ての国に於ける銀行の金融政策を決定する力を得て行きました。
例えば、連邦準備法が連邦準備券と呼ばれる新たな不換紙幣の創出を認めたのと同様に国際通貨基金は特別引出権、即ち、SDRと呼ばれる世界の法定不換紙幣を発行する権限が与えられたのです。これまで国際通貨基金は300億ドル相当のSDRを余分に創出しています。
加盟諸国は自国の通貨をSDRと自由に交換できる様にするよう圧力を掛けられて来ました。1968年、議会はSDRを合衆国の準備金として受け容れてSDRと引き換えに連邦準備券を発行する権限を連銀に付与する法律を可決しました。それは何を意味するのでしょうか? それは、合衆国に於いてはSDRが既に我々の合法的な通貨の一部となった事を意味するのです。では、金はどうでしょう?世界の金の3分の2を中央銀行が所有している事からSDRは既に金で部分的に裏打ちされており、両替商達はあらゆる面で最大の利益が上がると思われるやり方で世界経済の将来を構築する事が出来るのです。
連銀を連銀の理事会がコントロールしている様に、国際通貨基金をコントロールしているのも各国中央銀行の総裁か国の中央銀行が支配する財務省の長官が構成する国際通貨基金の理事会である事を忘れない様にして下さい。国際通貨基金に於ける投票権により米国と英国、即ち、連邦準備銀行とイングランド銀行は効果的にそれを管理する事が出来る様になっているのです。
連銀が合衆国の貨幣量を制御しているのと同様、国際決済銀行、国際通貨基金および世界銀行は世界の通貨の供給を制御しているのです。
かくして、我々は古い金細工職人のペテンが再び繰り返されるのを見るのです。
それは国内的規模では連銀の様な中央銀行の形で、国際的規模では世界中央銀行の三つの腕と言う形で再現されました。我々が纏めて「世界中央銀行」と呼んでいるこれらの国際決済銀行、国際通貨基金および世界銀行と言う組織は現実に世界の信用供給を拡大したり縮小したりしているのでしょうか? 正しくその通りなのです。1988年に国際決済銀行が発効した規則は世界の銀行に増資を促して1992年までに負債の8%を引き当てるよう求めています。必要資本の増加は現金準備制度に於ける場合と同様、小額準備金の増幅貸付に上限を設ける事となります。
この8年前にスイスで作られた、一見、取るに足りない規則は世界にとってどの様な意味があるのでしょう?
その意味するところは、今や最大の貸付率が定められ、我々の銀行は次の経済不況が起こる前に、更により多くの時間を稼ごうとして更により大きな金額の貸付を行おうとしても最早できないと言う事なのです。銀行の準備高が最低の国々では各銀行が準備金を8%に増額するべく先を争って金策に駆け回っており、この信用縮小に因る悲惨な結果を既に感じ取っています。彼らは資金を調達する為に株式を売却せざるを得ず、それによって株式市場が低迷するので不況は先ずそれらの国々から始まる事となるのです。
日本は1988年に最低の準備資本を有していた国々の一つであった為にその規則の影響を諸に受けて1989年に入るとほぼ直ぐに始まった財政破綻を経験し、1990年以来の株式は50%と言う驚異的な下げ幅となり、商業用不動産の価値は60%も低くなっています。日銀は公定歩合を1%の1/2(つまり0.5%)にまで下げ、経済の復興を期して通貨を寄贈したと同様の措置を採ったものの、不況はそれでも更に悪化したのです。
メキシコの救済に合衆国が200億ドルの緊急援助を行った事から、我国では同国の財政破綻について既に知られています。
しかし、緊急の財政支援にも拘わらず、メキシコ経済の最悪の事態は依然として続いています。再三にわたる巨額の借入は、メキシコが以前に借入れた金額の利子を支払えるようにする為にのみ新たな借入を行っているので、次から次に繰り返されるのです。
メキシコの南部では余剰ペソの全てが利払いの為に国外に吸い上げられてしまった為、貧しい人々は政府に公然と反旗を翻しています。
世界で最も裕福な一握りの銀行家達が支配する超国家的世界中央銀行に従属する様に成るに連れて急進的な政権移譲が行われており、我々はこの事に注意を向ける必要があります。
国際通貨基金が自らの帳簿に一筆振るうだけでSDRをどんどんと創り出している傍ら、更に多くの国々が国債の利子を支払う為にそのSDRを借入れ、そして徐々に世界中央銀行の顔なき官僚どもの支配下に陥ります。かくして、世界的な不況がより悪化し、更に拡大するに連れて、世界中央銀行はそれらの国々に於ける経済の生殺与奪の権限を持つ様になるのです。何れの国にSDRを更に借入れるのを許すか、何れの国を飢えさせるかを決定する者となるのです。
彼らは経済を発展させて貧困を軽減させる等と美辞麗句を並べ立てていますが、結果は借金国から国際通貨基金と世界銀行を動かしている両替商達の各中央銀行に富が着実に移動しているだけなのです。
例えば、世銀から借入れている第三世界の債務国によって1992年に世銀が資金提供した諸目的の為に先進国の中央銀行に支払われた金額はそれらの国々が世銀から受取った金額よりも1億9,800万ドル多い金額となっています。この増加分は全てそれらの国々が以前に行った借金によって引き起こされた貧困を一時的に穴埋めさせるのと引き換えに購入した長期公債によるものなのです。
これらの返済額は既に新たな貸付け金額を上回っています。1992年までにアフリカの対外債務は1982年於ける金額の2.5倍に相当する2,900億ドルに達し、その結果、乳幼児死亡率と失業率は鰻上りとなり、学校や住宅等の人々に対する一般的支援は悪化の一途を辿るようになりました。
今、世界全体が測り知れない苦難に直面し、第三世界は既に破壊されつつあり、そして今度は日本が破壊されようとしておりますが、これらの全てが両替商達の利益の為に行われているのです。ある著名なブラジル人は次の様に述べています
「第三次世界大戦は既に始まっています。
それは静かな戦争です。
しかし、これ以上に邪悪な戦争はありません。
この戦争はブラジル、ラテンアメリカ、そして実質的に全ての第三世界を破壊しつつあります。
この戦争で死んでいるのは兵隊達ではく子供達なのです。
それは第三世界の借金を巡る戦争であり、その戦争の武器は利子であり、それは原子爆弾よりも致命的で、レーザー光線よりも強烈な武器なのです。」
中央銀行や小額準備金増幅運用に関する歴史を如何なる形で再検討するにせよ、大きな影響力を有するロスチャイルド家、ウォーバーグ家、シフ家、モルガン家及びロックフェラー家らの果たした極めて重大な役割を無視するのは馬鹿げているかもしれませんが、世界の中央銀行や大きな商業銀行が存在するようになってから3世紀にもなろうとしており、多くの国々の経済生活に深く根付いてしまっているのだと言う事を忘れない様にしましょう。これらの銀行はネイサン・ロスチャイルドの様に才気縦横な個人に依存する事は最早ありません。
何年か前には所有権の問題が重要でしたが、最早そうではありません。第二次世界大戦後にイングランド銀行とフランス銀行は共に国営化され、以来、何も変わってはおらず、全く何一つとして変わってはいないのです。彼らは持ちこたえて成長し続け、今や数々の法律や報酬を与えられた政治家に、そして抵当に入れられたマスコミに護られており、この事は世代が変わっても何ら影響を受けておりません。3世紀もの長い時間が彼らが恰も尊重すべき対象であるかの様な雰囲気を醸し出したのです。第六世代の息子達は今や学閥意識で?がっており、また、無数の慈善団体の理事に指名されている事から、自らを育んだ体制に疑問を抱く事など決してないと思われます。今日、個人としての人物や家族に焦点を当てたり、現在の権力者達を選り分けたりしても殆ど得るところはなく、寧ろ、問題の解決から逸脱する事になります。問題はそれよりも遥かに大きいのです。膨大な巨万の富を益々数少ない一握りの者達の手に整理統合するのに利用されて続けて来たのは過去に於いても現在に於いても腐敗した金融制度であり、それこそが現在に於ける我々の経済問題なのです。今、現在の主役を変えたとしても問題は解消されないばかりか動揺すらしないでしょう。同様に、世銀や世界中の中央銀行、国際的銀行等で働いている多数の官僚の中、現在起きている事について多少なりとも分かっている人達はほんの一部しかおりません。彼らは自らの働きが人類の悲惨な貧困化と少数の途方もなく富豪な金権政治家に捧げる段階的奴隷化に貢献している事を知れば必ずや愕然とする事でしょう。
この様に、個人の役割を強調する意味は最早ありません。そして、問題は政治上の右翼や左翼と言う通常の枠組みとも無縁なのです。共産主義と社会主義共に、また、独占資本主義も全て両替商達に利用されて来ました。今日、彼らは新しい二つの政治勢力の両方から利益を上げています。二つの勢力とはいわゆる左翼が標榜する大きな政府の福祉国家対大きな政府を完全に排除したがっている右翼が標榜する新保守主義の自由放任的資本主義です。
何れを採るにせよ、勝つのは銀行家なのです。通貨改革は国が直面している最も重要な政治的課題となっています。それでは、以上の点を明確にした上で、また、リンカーンが宣言した次の精神を以て結論に進む事と致しましょう。
「何びとに対しても悪意を抱かず、全ての人に慈愛をもって」
この映画の始めに我々は幾つかの厄介な疑問を投げ掛けました。ここで、それらに対する答えが間違いなく得られたかを見てみる事と致しましょう。
アメリカで今なにが起きているのでしょう?
なぜ我々は借金で身動きがとれなくなっているのでしょう?
政治家達はなぜ負債を制御出来ないでいるのでしょう?
なぜ我々は借金で身動きがとれなくなっているのでしょう? それは我々が民間の銀行家達が計画し、コントロールしている債務ベースの貨幣制度下で働いている為なのです。ここで、連邦準備制度が準政府機関であるとして反論する人もいるでしょう。しかし大統領が4年毎に任命しているのは連邦準備制度理事会の7名のメンバーの中の2名だけなのです。しかも、任命された理事達の任期は14年間で、大統領自身の任期よりも遥かに長いのです。上院は確かにそれらの任命を確認してはいますが、実はウォール街が承諾しない人物を大統領が敢えて理事に任命する事はないと言うのが総ての真相なのです。もちろん、だからと言ってある高潔な人物が理事に任命される可能性まで排除される訳ではありません。連銀は、殆ど全ての中央銀行がそうであるように、政府から独立して運営されるよう特別に計らわれているのです。
連銀は通貨の安定と言う役割を担っていると反論する人がいます。
我々はイングランド銀行の現在の総裁であるエディ・ジョージが、これこそ中央銀行の最も重要な役割であると主張するのを見ました。しかし、実際には、連銀による経済の安定化に関する記録は悲惨な結果を示しています。連銀はその設立後の最初の25年で世界恐慌を含む三つの大きな景気後退を引き起こし、最後の30年の期間にはアメリカ経済を嘗てない物価の高騰期へと導きました。再度、言いますが、これは荒っぽい陰謀論なのではなく、超一流の経済学者達の間でよく知られている事実なのです。
ノーベル経済学賞を受賞したミルトン・フリードマン氏は次の様に述べています。
「貨幣残高、物価および生産活動は準備制度が設けられた後に於けるほうがそれ以前の時よりもより不安定になった事は全く明らかです。
生産活動が不安定化した最も劇的な期間は、言うまでもなく、二つの大戦を挟む20年間の中で過酷な(通貨の)収縮が行われた三つの期間、即ち1920〜21年、1929〜33年および1937〜38年です。20年間にこの様な過酷な通貨収縮が3度も行われたのはアメリカの歴史上、他に例を見ません。
この事から私は第一次世界大戦中とその直後に生じた物価上昇の少なくとも三分の一は連邦準備制度の設立に起因するものであると確信しました…そして1920〜21年、1929〜33年および1937〜38年の各期間に行われた大規模な通貨収縮の過酷さ… が準備金制度当局による作為および不作為に直接起因するものであると確信したのです。
かくも大きな権力と、かくも大きな裁量権を僅か数人の人物に与え、(それだけに)もし間違えれば、正当な理由の有無に関わらず、極めて途方もない悪影響を及ぼす事になるどのような制度も悪しき制度であると言わなければなりません。
自由を信奉する人々にとっては国家や国民の実効ある抑制や確認を受けないその様な権力を少数の人物に与えると言う理由だけで、それは悪しき制度なのです-- これが独立した中央銀行に反対する政治的論議の主な根拠となっているものです。
クレマンソーの言葉を言い換えて述べると、お金は中央銀行に任せるには余りにも重要なものであり過ぎるのです。」
ミルトン・フリードマン経済学者
我々は手遅れとならないよう歴史から学ばなければなりません。
政治家は何故連邦政府の借金を制御できないのでしょうか?
それは我々の通貨が借金によって創られているからなのです。
前に述べた様に我々のシステムは債務に基づく貨幣制度なのです。我々の貨幣は米国債の購入によって創られているのです。国民は国債を貯蓄債券のような形で購入し、銀行も国債を買い、外国人も国債を購入し、そして連銀も制度内での貨幣供給を増やそうとする際にそれを購入するのですが、連銀が購入する国債の支払は単に自らの帳簿に無から創造した金額を記入するだけなのです。
そして、連銀が創造した新たなお金は「小額準備金の増幅貸付原則」のお陰で銀行によって10倍に増幅されるのです。
この様に、銀行は通貨を造らずに新たな貸付を行う事によって小切手や預金の形でお金を創り出すのです。彼らはこの様にして創り出したお金を投資さえしています。実際、この私的に創り出したお金の中の1兆ドルが公開市場に於ける米国債の購入に使われ、それによって銀行が毎年得ている無リスクの利子収入は概ね500億ドルに上り、彼らの預金者の一部に対する利子もそこから支払われています。この様に、小額準備金の増幅貸付によって銀行はお金の90%を創り出しているので我々の物価上昇の90%を引き起こしている事になるのです。これらの全てについて我々は何が出来るでしょう? 幸運な事に、この問題はかなり容易かつ迅速に、そして、重大な財政上の問題を引き起こす事なく解決する方法があります。リンカーンが発行したのと同様な、債務を伴わない米国紙幣によって米国債を完済すれば、我々は1年か2年で我々の国を完全に借金から解放する事が出来るのです。勿論、そうすると、我々の通貨が小額準備金増幅運用方式によって増倍しているので凄まじいインフレを引き起こす事になります。しかし、ここに、ミルトン・フリードマンが部分的に発展させた独創的な解決策、国債を償還しつつ貨幣供給を安定させながらインフレやデフレを防ぐと言う解決策があります。財務省が公開市場で自らの国債を新たな米国紙幣で買い上げるのに応じて、私達が住んでいる地方の銀行に必要な準備率はそれに比例して上昇し、流通している貨幣量は一定の値を維持するようになります。保有債券を新たな米国紙幣で償還して貰った人々は、その紙幣を銀行に預けるので、銀行は準備金を増やす為に必要な通貨を確保できる様になるのです。総ての米国債が新たな米国紙幣に取って代わった暁に、銀行は現在行っている小額準備金の増幅貸付を止め、100%準備金方式にて運営される様になります。
その時点から連銀の建物は米国紙幣の小切手や金庫室の為の中央手形交換所として必要なだけのものになります。連邦準備法は最早必要ではなく撤廃する事ができる様になり、通貨に関する権限は財務省に返還される事になります。銀行による貨幣の創造や収縮は最早行われません。この様にする事で我々の国債は概ね1年程度の期間で完済され、連銀と小額準備金増幅運用制度は国民経済の破綻やインフレやデフレを経る事なく、また、一般のアメリカ人の普段通りの仕事に著しい変化をもたらす事なく廃止する事が可能となるのです。一般の人々にとって、それまでとの主な違いは、1913年の連邦準備法が成立して以来初めて、税金が下がり始めたと言う事になるでしょう。かくして、ハミルトンの友人である銀行家連中に対する国家的祝福ならず、我々一般国民に対して国家の真の祝福が与えられる事になるのです。それでは、これらの提案について更に詳しく見て行く事にしましょう。
連邦議会の可決を要する通貨改革法案の主な条文があります。このテープの最後に示しますが、我々は通貨改革法の案を起草しました。勿論、これと同じ効果を生む他の法案件があれば喜んで受け容れます。
1番。負債を伴わない新たな米国紙幣で国債を償還します。トマス・エジソンが述べた様に、我国がドル公債を発行できるのなら、ドル紙幣を発行できるのです。それらは共に合衆国政府への信頼と信用に全くその基礎を置いているものなのです。それは政府が国債の種類を他の種類に置き換えるに過ぎません。一方は利子を生み、他方は利子を伴わない国債なのです。連邦準備券もこれに使う事が出来ますが、我々が提案するように、連銀が廃止された後には最早印刷されなくなりますので、我々は新たな米国紙幣を使うよう推奨します。
2番。小額準備金増幅運用制度を廃止します。全ての 銀行と金融機関に必要な準備金は新たな米国紙幣が預金されて銀行の準備金となりますので、国債が米国紙幣で償還されるに連れて増加します。移行期間の初年度が終わる頃になると各金融機関の残存債務は合衆国政府が一度に纏めて引き受けるか或いは取得する事となります。つまり、それらも、また、全体の貨幣供給を安定化させるべく債務なき米国紙幣で最終的に清算される事となります。初年度の末には国債の全てが償還され、我々は全額準備金運用方式による金融の恩恵を享受し始めるようになるのです。連銀は陳腐化して時代遅れの機関となりましょう。
3番。1913年の連邦準備法と1864年の国立銀行法を撤廃します。これらの法律は貨幣に係る権限を民間銀行が独占するのを許す為のものだからです。これらは撤廃し、貨幣権限は当初リンカーン大統領の下にあった財務省に返還されなければなりません。銀行家ないし金融機関に関与しているどのような人物にも金融を規制するような事を許してはなりません。
いずれにせよ、これらの法律は小額準備金増幅運用制度に関するものですので、最初の二つの改革が行われてしまえば、最早、何らの有用な目的も果たす事はなくなります。
4番。合衆国を国際通貨基金、国際決済銀行そして世界銀行から引き上げさせます。これらの機関は連邦準備銀行のように世界経済に対する国際銀行家達の権力を更に中央集権化しようとする為のもので、合衆国はその様な機関から離脱しなければなりません。異なる通貨の交換等、それらの機関が行っている無害な機能は国内的に行うかそれらの機能に役割を限定した新たな組織を通じて行う事が出来ます。この様な通貨改革法は流通する貨幣の量がインフレやデフレを引き起こす事なく非常に安定する事を保証するものです。ここ30年間に連銀がアメリカの貨幣を10年毎に倍増させていたのを忘れないようにしましょう。この事実と小額準備金増幅運用方式こそインフレを引き起こし我々の購買力を削減する真の原因であり、隠された税金なのです。これらとその他の諸税こそ家庭の両親が何とか生き抜く為にのみ共働きを余儀なくされている真の理由なのです。貨幣の供給は価格を安定させる為には概ね毎年約3%の人口増加率に合わせて緩慢に増やすようにしなければならず、銀行家共の一団が秘密裏に行う会談を通して気紛れに決められる様な事があってはならないのです。実際、アメリカ経済にどの程度の貨幣を供給すべきかに関する将来的な決定は人口増加の統計と物価指数を基に行われなければなりません。通貨を監督規制する新たな諸機関と財務省は、恐らくは纏めて通貨委員会と称される事になるでしょうが、宣戦布告された際の戦争中を除いて、この件に関する如何なる裁量権も与えられるような事は断じてありません。
これで、貨幣の供給は概ね年3%の割合で着実かつ安定的に増加する事となり、その結果、物価は安定し、貨幣供給が激しく変化する様な事もなくなります。これが確実に達成されるよう、その過程は完全に公開されて正直に進められ、全ての審議も公の場で行い、連銀の理事会による現在の会議のような秘密主義的な仕方で行われる事は決してありません。それが上手く機能すると何故分かるのでしょうか?
それは、これらの段階を踏襲する事で経済不安の二つの大きな原因である連銀と小額準備金増幅運用方式ならびに新たな最新の要因であるBIS、即ち、国際決済銀行が取り除かれるからです。しかし、最も重要な理由は深刻な恐慌の起こる危険が除去される事です。
大恐慌の単一原因に関するミルトン・フリードマンの言葉に耳を傾けてみましょう。
「私は如何なる国に於いても、また、如何なる時に於いても現金が急激に減少する事なく深刻な経済恐慌が起きた例を知らず、また、同様に、深刻な経済恐慌が起きていないのに現金が急激に減少した例を知らない。」
ミルトン・フリードマン 経済学者
我々が自らの通貨を発行するのは急進的な解決策などではありません。それはジェファーソン、マジソン、ジャクソン、バン・ビューレンおよびリンカーンの各大統領が唱道していたのです。しかし、ヨーロッパの至るところで様々に異なる時代に行われていたものでもあります。恐らく、その最も好い例がイギリス海峡のフランスの沖合いに位置する小さな島々の一つでガーンジーと呼ばれている島でしょう。この島は大きなビル建設事業への支払に充てる為に無債務通貨をほぼ200年間にわたって使用してきたのです。
我々は今そのガーンジー島に来ており、ここはガーンジー島の花と野菜の市場です。ガーンジー島は無債務貨幣制度が如何によく機能するかを端的に示す最も成功した例の一つです。
1815年、この新しい市場に資金を提供する最善の方法を調査する為の委員会が創られました。
当時、貧窮化していたこの島は、更なる新しい税金を納める余裕などなく、島の父祖達は革命的な構想、即ち、彼ら自身の紙幣を発行してみる事としたのです。それらの紙幣は単なる色彩豊かな紙で、その価値を裏付けるものは何もなかったのですが、この小さな島の住人達はそれを受け容れる事とし、互いに交換し始めたのです。
そして、確実に広く流通するよう、彼らはそれらの紙幣で税金を納める事が出来ると宣言したのです。勿論、この構想はその時に始まった新しいものではありません。それはアメリカがアメリカ革命前に行ったものと全く同じであり、他にも世界の至るところで多くの実例があるのです。しかしガーンジー島の人々にとってそれは新しいもので、奇跡をもたらしたのです。この市場は未だに使用されています。そして、それがこの島国の人々に債務を負わせる事なく築き上げられたものである事を忘れないで下さい。
しかし、もし、我々がガーンジー島の例に倣い、それと同じ様にしたらどうなるのでしょう? 銀行家達はこれらの改革に対してどの様に反応するでしょうか? カルテルを組んだ国際的銀行家達が世界の経済に対する彼らの支配を排除する様な改革に反対する事は確かです。しかし、連邦議会が無債務通貨としての米国紙幣を発行し、自らが無分別に制定した金融関係の法律を改革する権限が憲法によって与えられている事も同様に確かなのです。銀行家達が無債務通貨を発行すれば激しいインフレを引き起こす等の悲観的な予測を行って様々な主張をして来るのは間違いありません。しかし、あらゆるインフレの90%以上は小額準備金増幅運用がその真の原因であって、政府の赤字を埋めるのに無債務通貨である合衆国紙幣を使用するかどうかの問題ではないと言う事を忘れないようにしましょう。現在の制度では議会に於ける過剰支出は全て更なる赤字国債となり、連銀が購入するその国債の10%が銀行家達によって何倍にも増幅させられ、全てのインフレの90%を引き起こす原因となっているのです。債務をベースとしたこの小額準備金増幅運用方式こそ我々の真の問題なのです。我々は改革に対する不可避的な抵抗をものともせず、この問題が完全に矯正されるまで断固とした姿勢を貫かなければなりません。
1920年代にイングランド銀行の総裁であったジョシア・スタンプ卿はこの小額準備金増幅運用方式に言及し、次の様に述べています。
「銀行業は不正によって孕まされ、罪の中で生まれたものである。
銀行家達は地球を我が物にしている。
地球を彼らから奪回したとしも、貨幣を創り出し、金融を統制する力をそのままにして残せば、彼らはペンを一振りするだけで地球を買い戻すに十分な貨幣を忽ち創り上げるであろう。この強大な力を銀行家達から取り上げれば、
私の財産の如き大きな資産は全て消え去る事になり、また、消え去らねばならない。何故なら、そうする事によって我々の住む世界はより善く、より幸福なものとなるからである。
しかし、もし諸君が銀行達の奴隷であり続け、自らを奴隷とする費用を支払いたいと願うのであれば、彼らに貨幣を創らせ続け、金融支配を続けさせよ。」
ジョシア・スタンプ卿
アメリカ国民はこの事について徐々に解り掛けて来ています。今日、3,200に上るアメリカの市や郡が「主権」と称する非営利組織の提案に賛同しておりますが、この主権運動は市や郡および通学区域に必要な設備改良を行う為の資金を無利子で貸付けるべく毎年900億ドルの米国紙幣、連邦準備券でも債務を基にした公債でもない「米国紙幣」を発行する権限を財務省長官に付与するよう議会に呼び掛けています。驚くべき事に、そして、称賛すべき事に、515行の加盟銀行を代表するイリノイ州の地域銀行協会はこの主権による提言を支持したのです。正しい方向への良き一歩を踏み出したと言えましょう。
ここで、この映画の始めに我々が発した今ひとつの疑問に立ち返る事となります。
我々は未だかつて前例のない凄まじい経済恐慌に突入しようとしているのでしょうか? もし、そうであるなら、それを防ぐ事が出来るのでしょうか、そして、我々は家族を守るために何ができるのでしょうか?
ミルトン・フリードマンは「深刻な貨幣収縮を伴わずに深刻な経済恐慌は起こり得ない」と何度も繰り返し指摘しています。我々の制度に於いては連銀や国際決済銀行のみが米国銀行協会ないしはウォール街に於ける幾つかの最も大きな銀行の協力を得て恐慌を引き起こす事が出来ます。言い換えますと、我々の経済は極めて巨大にして回復力があり、恐慌が偶然に起こる事はあり得ないのです。我々の銀行制度を改革しない限り、彼らは常にその力を持ち続ける事となります。彼らは自分らの好きな時に何時でも我々の経済のコードを抜く事が出来るのです。唯一の解決策は連銀と小額準備金増幅運用制度を廃止して国際決済銀行から撤収する事なのです。我々の経済を支配する国際的銀行家達の力を断ち切るにはそうする事以外にはないのです。
そして、株式市場の暴落自体で深刻な恐慌を生じさせる事はあり得ないと言う事を覚えておいて下さい。激しい恐慌は我々の貨幣供給量を急激に減少させる事によってのみ引き起こされるのです。
1929年に発生した株式市場の暴落は単に市場の投機家を、それも殆どが中小の投機家を一掃しただけで、その結果、30億ドルの富がその持主を変えました。
しかし、それは連銀が次の4年間に33%の信用収縮を行い、その結果、中流アメリカ国民の400億ドル以上の富が大銀行の手に渡った事実を隠す煙幕の役割を果たしたのです。
そして、分裂した議会から重要な反対の声があがったにも拘わらず、独立した連銀は10年の全期間を通して貨幣供給を収縮し続けました。第二次世界大戦だけが連銀によってアメリカ国民に加えられた過酷な苦しみを終らせたのです。恐慌の際には借金を抱えた中流階級に残された財産は雇用先の漸減賃金やその結果余儀なくされる差し押え等によって取り去られてしまいます。もし我々が行動を開始して通貨制度の改革に取り組めば、両替商達は彼らが1929年と1930年代に行ったのと同じ事を、つまり、株式市場を暴落させ、それを煙幕に貨幣の供給を収縮して来るでしょう。しかし、我々が自らの貨幣に対する支配権を取り戻す戦いに向けて固く決意をする限り、我々はかなり迅速に、恐らく合衆国紙幣が流通し始め銀行家達が創り出した通貨と置き換えられる様になってから僅か数か月足らずで、そこから抜け出る事が出来ます。行動を開始する時期が長引けば長引くほど、我々の国を永久に制御し得なくなる危険が高まるのです。しかし、依然として、国際的な銀行家達が恐慌を起こしたがっているという事について疑問を呈する人達がいます。金利と言う金の卵を産んでいる鵞鳥を殺す様な事をするであろうかと言う訳です。
この映画の最初にラリー・ベイツが言った事を思い起こしましょう。
「お分かりでしょうか、経済的な激変や危機に際して富は破壊されるのではなく、単に移動するだけなのです。」
我々は両替商達が我々の為に何を用意しているのか少しでも気付いているでしょうか?
チェース・マンハッタン銀行とウォール・ストリート銀行の会長であるデイビッド・ロックフェラーの発言した内容がここにあります。
「我々は正に地球的規模の変容を遂げようとしております。
我々に必要なのは適切にして深刻な危機だけであり、それによって国家は新世界秩序を受け容れるでありましょう。」
この様に、彼らの計画を迅速に成就する為に危機が必要であると言う訳です。
唯一疑問なのは、その危機が何時起こるかと言う事です。
幸いにして我々には恐らく未だほんの少し時間が残されています。
その危機が1996年の選挙以前に起こる事は考え難いのですが、それ以降になるとその危険は高まり始めます。
しかし、彼らが過酷な増税を通じて、また、GATT(関税と貿易に関する一般協定)とNAFTA(北米自由貿易協定)のお陰で海外に輸出されている何拾万もの失業を通じて恐慌や不況を引き起こすかと言う問題とは別に、アメリカの中流階級は絶滅の危機に追い遣られています。ハリー・ウーが敢然とドキュメント化した共産中国の奴隷労働を含む低賃金労働がアメリカの労働者と対抗させる為に利用されているからです。言い換えると、お金は我が国や世界の歴史に未だ嘗てない程に益々より少ない手の中に整理統合されつつあると言う事なのです。もし改革を断行しなければ、アメリカの中流階級はやがて絶滅し、その後に残されるのは、世界の多くの国々でそうであった様に、非常に僅かな富豪達と非常に多くの貧困者だけになってしまいます。これらの全ては国会議員、大統領、実業家および経済学者達が長年の間ずっと我々に警告していた事でした。宗教界の指導者達もその危険性を見ていたのです。
ウィリアム・ジェニングス・ブライアンが合衆国大統領候補であった1898年頃、レオ13世ローマ法王は次の様に述べています。
「一方の側には富を有するが故に権力を有する者達がおり、それはあらゆる労働とあらゆる交易を掌握し、自らの利益と目的の為にあらゆる供給源を巧みに操り、国家の評議会そのものに自らを強力に代表させているのです。
他方の側には多数の貧しく無力な人々がおり、彼らは痛み、苦しんでいるのです。」
「強欲な高利貸しは、一度ならず教会によって糾弾されたにも拘わらず、尚且つ欲の深い貪欲な者達によってその形を変えながらも同じ罪深さで、実践されている…そうして、少人数の途方もない大金持ちどもは多くの貧しい人々に奴隷制そのものと何ら変わる所のない頚木をまんまと掛ける事が出来たのだ。」
ローマ法王 レオ13世
もっと最近の例ではアメリカ大恐慌の際にローマ法王ピウス11世がそれと同じ問題に言及して次の様に述べています。
「現下の我々の時代に蓄積されているのは富だけではなく、巨大な力と横暴な経済的支配力が僅かな者達の手に集中している…
この力は、貨幣を掌握して支配しているが故に、金融を支配して資金の分配方法を決定する事も出来るようになり、それ故、経済全体を循環する謂わば生き血とも言うべき経済の魂である通貨を供給し、自らの手で貪欲に握り締めている者達によって行使される時、特に圧倒的なものとなって、誰も彼らの意志に反する様な事を囁かなくなるのである。」
ローマ法王ピウス11世
しかし、ここで、当初の質問に立ち返る事と致しましょう。
我々は恐慌の最中に自分達の家族を守る為に何が出来るのでしょう?
借金を清算する
第一に、たとえ生活水準が低下する事になるとしても、借金は出来るだけ清算しましょう。そうしなければ、借金で賄った全てのものを失う立場になってしまうからです。
流動化する
第二に、資産を流動化しましょう。例えば不動産等の財産の流動性を高めるのです。
家屋を完全に所有しているのであれば、問題はありません。しかし、そうでなければ他の資産を売却してでも住宅ローンを返済しましょう。最悪の事態に備え、資産の何れかを古い銀貨に換える事も考えましょう。
1965年より前の銀貨の純度は90%です。1965年以降のものは違います。
激しい恐慌の真っ最中、たった一つの銀貨があれば家族に一週間分の食料品を買い込む事が出来たと云われていました。古い銀のドル貨幣が何故それ程に価値あるものとなったのでしょうか?それは、大半の人々がそれをよく知っており、その重量と純度に間違いがない事を知っていたからなのです。
であるとすれば、僅か20ないし30個のドル銀貨を保有する事が合衆国の歴史上最悪の時になると思われる時期を私達の家族が乗り切るか否かの分かれ目となるかもしれません。
その他の貴金属、特に金も、通常、恐慌の際に余剰資産を護る上での好い方法です。しかし、我々の出来る事は他にもあります。外貨建て資金も考えられます。スイスかオーストリアの銀行口座か合衆国銀行の外国為替預金口座を開設するのも良いでしょう。
もし、資産をそれらの全てに投資させる余裕があれば、そうするのが良いでしょう。皆さんの友人を啓蒙しましょう。我国は私達のお金がどの様にして巧みに操作されているのか、また、何が本当の解決策なのかを真に理解している良識あるグループを必要としているのです。
何故なら、もし恐慌が来れば、自らを保守派と称する輩が進み出て国際的銀行家らの組み立てた解決策を宣伝するようになるからです。金本位制への復帰に向けた呼びかけに用心して下さい。何故でしょう? それは単純な事で、かくも大量の金がアメリカの手を離れてそのアメリカの外にかくも集中的に集められた事は未だ嘗て一度もなかったからです。そして、かくも大量の金が世界銀行や国際通貨基金の様な国際政府機関の手に渡った事は嘗て一度もなかったからです。
実際、国際通貨基金は如何なる中央銀行よりも多く金を保有しています。金に裏打ちされた通貨は、通常、その国を絶望的にするのです。金本位制への復帰が間違った、我々の場合、間違った解決策であるのは確かです。我々が1929年と大恐慌の最初の4年間に金本位制を採っていたのを思い起こしましょう。同様に、地域通貨ないし世界通貨を提案しようとする如何なる計画に対しても用心して下さい。それは国際的銀行家達によるトロイの木馬なのです。連邦議会の我々の議員達を啓蒙しましょう。説得力ある数名の議員さえいれば他の議員も耳を傾ける筈です。大半の議員は単にこのシステムを理解していないだけなのです。それを理解している議員もいますが、彼らは銀行のふんだんな献金によって余りにも影響され過ぎている為にそれを無視し、それがどの様に重大な結果をもたらすかに思い至らないのです。
我々は通貨改革に関する国民的議論に価値ある貢献を成し得たものと念願しています。各自に於かれましては実生活の状況に応じた自らの義務を果たされん事を。そして、我々の国家と我々自身を改革する為の道程に神の光が与えられますように。我々自身の改革と言いましたのは、世界の富が益々数少ない一握りの者達の手に蓄積する事によって最後には非常に広範囲にわたる夥しい数の人々が益々深刻な絶望の淵に追い遣られる事となるからです。人々は自らを迫害する者の如く、利己的で貪欲な者になる傾向を示すでしょう。そのようになる事なく、我々はむしろ改革の時代にある間、ローマ法王ピウス11世が述べたように、より偉大なるものを疎んじる事なかれと言う警告を心に焼き付けましょう。
「人は、富を更に用心深く配分して使い、全世界を手に入れる事すら可能になったとしても、それによって自らの魂を喪失するのであれば、一体、何の得があると言うのであろう!
経済学の健全な原則を教えたにしても、自己中心や止まる所を知らない浅ましい貪欲によって自らの理性を失い、主の戒めを聞いても悉くその反対の事をしてしまう様になるのであれば、一体、何の得があると言うのか。」
ローマ法王ピウス11世