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Anti-Rothschild Alliance

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資料室

The Money Myth Exploded The financial enigma resolved ― A debt-money system
日本語訳文 『お金神話の打破』金融上の謎の解明 ― 負債としてのお金のシステム

byルイ・エバン
原文【英語サイト】http://www.michaeljournal.org/myth.htm

“お金神話の打破”はルイ・エバンの初期の論文の一つで、今なお、お金が民間銀行によって、どのようにして負債として創造されるかを説明するための最も良く知られた論文の一つである。この論文は、“ミカエル”オフィースに注文すれば、英語、フランス語、スペイン語、イタリア語、ドイツ語、ポーランド語、またはポルトガル語の8ページの小冊子(タブロイド判)として入手可能である。 

1.難破船の生存者

彼らの船は爆発し、ばらばらに壊れた。各自は最初に手の届いた残がいにつかまった。そして最後には5名が残り、彼らは波が偶然にも運んできてくれたいかだの上に身を寄せ合った。その災害による他の被害者については、その姿が見えなかった。

何時間もの間、彼らの目は水平線に釘付けであった。通航する船が彼らを見つけてくれないだろうか? 彼らの一時しのぎのいかだが、どこか安心できる海岸に到着しないだろうか?突然、誰かが叫び声を上げた。

「見ろよ、波が我々を運んでいる方向に陸があるぞ」 
そして、おぼろげなシルエットが本当に海岸の輪郭であると分かるにつれて、いかだ上の人影は喜びでダンスを踊った。 
5名の中に、大柄でエネルギッシュな大工フランクが居たが、最初に陸だと叫んだのは彼だった。彼の他に農夫のポールがいるが、彼は画像の左側前方で、膝をついていて、片手をいかだの面に置いて、もう片手でいかだのマストを握っている。次は、動物飼育業のジムで、彼は縞模様のパンツをはいていて、ひざまずき、陸の方向を凝視している。その次は農場主のハリーで、横腹の肉付きが良く、漂流物から回収した木の幹に座っている。最後が探鉱家にして鉱物学者であるトムで、画像の後方で大工の肩に手を置いている快活な男である。

2.神の助けのような島

我らが5名の男達にとって、陸に足を置くことは墓場から現世への復帰のようなものであった。身体を乾かして暖をとったあと、彼らの最初の衝動は、彼らが打ち上げられた、文明と程遠いこの小さな島を探検することであった。 短時間の調査で彼らの意気は十分上がった。島は不毛の岩ではなかった。確かに、今、島にいるのは彼らだけであった。しかし、彼らが出合った半野生の動物の群れから判断して、彼らが来る前のある時期に人間が居たに違いない。動物飼育業のジムは、動物達を完全に飼いならして、彼らに役立つようにできると確信した。ポールは島の土壌を調べて、大部分が耕作に適していることを確認した。ハリーは、適切に手入れしてやれば、十分な収穫をもたらせてくれるであろう果樹を発見した。最も重要であったことは、多種類の木を含む大きな森林があったことで、そのお蔭で、フランクは小さな共同体用の家を多大な困難を伴わずに建てることができるであろうことであった。探鉱家のトムは、島の岩石構造から豊富な鉱脈がある兆候を見出した。道具は無かったけれども、彼は自分の才覚と工夫によって鉱石から金属を作り出せると感じた。このようにして、各自はそれぞれに特別な才能技量で公益のために働くことができた。その島を救済の島と呼ぶことに全員が賛成した。全くの悲劇となり得たものが、かなり幸福な結末となった神意に対して、全員が感謝した。

3. 本当の富

人々が働いている。大工は家を建て、家具を作る。最初、彼らは見つけられるところで食料を見つける。しかし、直ぐに、畑を耕し、種を蒔き、農夫が収穫する。季節が次々と過ぎてゆき、救済の島の5人の男の財産はどんどん豊かになった。その富は、ゴールドや銀行紙幣ではなく、食料、衣類、避難所など人間が必要とする全ての物であった。各自はそれぞれ商売した。余剰生産物を他者の余剰生産物と交換した。
生活は必ずしも彼らが望んだほど平穏でも完全でもなかった。彼らは文明社会で慣れ親しんでいた多くの物を欠いていた。しかし、彼らの運命は遥かにもっと悪くあり得たであろう。その上、彼ら全員、カナダで不況を経験していた。店には食料品が一杯あったのに、彼らは揃って空腹であったことをまだ覚えていた。少なくとも救済の島において、彼らは目の前で物が腐ってゆくのを眺めるということはなかった。ここでは税は無かった。また、執行官によって逮捕される恐怖をいつも感じる必要もなかった。彼らの仕事はきつかったが、すくなくともその労働による成果を享受できた。それ故、彼らは神に感謝しながら、家族との再会の日を望みながら、島を開発した。彼らは、最大の祝福である生命と健康を維持していた。  

4.深刻な不都合

我らが男達は、仕事について話すためにしばしば一緒に集まった。発達していた単純な経済システムのもとで、一つの事が厄介になり始めていて、益々厄介になっていた。彼らはお金というものを持っていなかった。物々交換、すなわち商品と商品の直接の交換には欠点があった。交換しようという話をする時、生産物が手元にあるとは限らなかった。たとえば、冬に木材が農夫のもとに届いても、そのお返しとしてのジャガイモを渡すのに6ヶ月待って貰う必要があった。時には、1人が大きなサイズの品物を持っていて、それを複数の人が持っている複数のより小さい品物と交換したいと思うことがあった。この複雑な商取引では、記憶に重い負担がかかる。貨幣制度があった時、各自は生産物を売り、お金を手に入れることができた。そのお金で、望むときに、そしてそれらが手に入るときに、欲しいものを買うことができた。通貨システムは非常に便利であることに、皆が同意した。しかし、誰もそのシステムの作り方が分からなかった。彼らは、現実の富の作り方を知っていた。しかし、その富のシンボルである通貨の作り方については、完全に彼らの理解を超えていた。彼らはお金の起源について無知であり、それを必要としながら、その作り方が分からなかった。きっと教養のある人達が同じ船に乗っていただろうに。我々のすべての政府は戦争に先立つ10年間において窮地にあった。当時、国に欠けていたものはお金だけだった。そして、政府はお金を手に入れるために何をしたら良いかを知らなかったのは明らかであった。

5.難民の到着

ある日の夕刻、我らが男達が砂浜に座って、彼らの問題について何百回目かの議論をしていたとき、一人の男が小さなボートでオールをこいで近付いて来るのに、突然気付いた。彼らは彼が難破船の唯一の生き残りだと聞かされた。彼の名前はオリバーだった。彼らは、新しい仲間ができて嬉しくって、彼らが持っていた最良の物を彼に与え、居留地の視察ツアーに彼を連れて行った。彼らは彼に話した。「我々は迷子になって、世界の残りから切り離されているけれども、不満に思うことはほとんどない。地面と森林は我々に好意的である。我々に欠けているのは通貨だけである。通貨があれば、我々の生産物交換がもっと楽になるのだが。」 オリバーは答えた。「あなた方は神意に感謝すべきでしょう。なぜならば、私は銀行家であり、あなた方に満足して頂けると保証できる通貨システムを今直ぐにでも作りましょう。そうすれば、文明圏の人々が持つ全ての物をあなた方は持つでしょう。」 銀行家! 銀行家!! 雲の上から降りてくる天使でも、我らが男達にそれ以上の敬愛と尊敬を呼び起こすことができなかったであろう。というのは、つまるところ、我々文明圏の人々は金融の源泉を支配する男達、すなわち銀行家達の前で、うやうやしく片膝を着くのに慣れていないのであろうか?

6.文明化の神

「この島の唯一の銀行家様であるオリバー氏は我々の通貨の世話をするべきであろう。肉体労働はする必要がない。」
「私は、他のすべての銀行家と同様、公共の繁栄のために私の仕事を完璧に遂行致します。」
「オリバーさん、我々は銀行家としての尊厳を保つことができる家をあなたのために建てましょう。しかし、それまでの間、我々が集会用に使っている建物に滞在して頂くことで構いませんか?」
「それは有り難い事です、皆さん。しかし、先ず第一にボートの積荷を降ろして下さい。紙と、インクおよびタイプを装備した印刷機があります。また、最新の注意を払って取り扱って頂きたい小さな樽があります。」 彼らは全ての積荷を降ろした。小さな樽は、我らが善良な男達に強い好奇心を引き起こした。
「この樽には夢も及ばない宝が入っている。ゴールドが詰まっている。」と、オリバーは大声で話した。
ゴールドで一杯! 5人は卒倒せんばかりであった。ここ救済の島に文明化の神が! いつも秘匿され、その力は今なお恐ろしく、その存在、不在、あるいは最も取るに足らない気まぐれが全ての文明国の運命をまさに決するであろう黄金色の神!
「ゴールド! オリバーさん、あなたは本当に偉大な銀行家だ!」
「偉大な人よ! オリバー閣下! 神であるゴールドの偉大なる高僧よ! 我々の卑しき服従を受け入れて下さい、そして忠誠の誓いをお受け下さい!」
「我が友よ、確かに本土に十分なだけのゴールドだ。しかし、ゴールドは流通させるものではない。ゴールドは秘匿されねばならない。ゴールドは健全な通貨の魂であり、その魂はいつも目に見えはしない。しかし、あなた方に最初に通貨を供給するときに、そのすべてをあなた方に説明しよう。」 

7. 秘密の埋葬

その夜、彼らがそれぞれの帰路に着く前に、オリバーは彼らに最後の質問をした。
「交換を容易にするためには、どれだけのお金で始める必要がありますか?」
彼らはお互いを見つめ合ったあと、うやうやしく銀行家の方を見た。少しの計算をし、その親切な金融業者の助言を受けて、彼らは各自200ドルと決めた。彼らは熱狂的な意見を交わしながら別れた。遅い時刻であったにもかかわらず、彼らはその夜のほとんどの時間、目覚めたまま横たわっていたが、ゴールドの姿形を想像して興奮していたからである。彼らが眠ったのは朝方であった。
オリバーの方はどうかというと、一瞬たりと浪費しなかった。銀行家としての未来に関する関心が疲労を忘れさせた。夜明けの曙光までに彼は穴を掘り、その中に樽を転がし入れた。それから彼はその穴を埋めて、その場所に小さな低木を移植し、その周りに注意深く芝土を配置した。それは上手く隠された。それから彼は小さな印刷機を使って、1000枚の1ドル紙幣を作った。印刷機から出てくるきれいな新札を見ながら、銀行家になった難民は密かに考えた。
「おやまあ、お金を作るのは何と簡単なことか。何らかの価値は、お金で買うところの生産物で得られるものである。生産物が無ければ、これらの紙幣は無価値である。私の5名の無邪気な顧客はそれを知らない。この新しいお金の価値がゴールドで保証されていると彼らは本当に思っている。彼らのまさにその無知さが私を彼らの主人にしてくれる。」
夜が迫る頃、5名はオリバーのところにやって来た―急いで。

8. 誰が新しいお金を所有するか?

テーブルの上に5束の新しい銀行券が置いてあった。「お金を分配する前に、聞いて欲しいことがあります」と銀行家は言った。
「今や、すべてのお金の基礎はゴールドにある。そして、私の銀行の地下室にしまってあるゴールドは私のゴールドである。お〜!、そんなに落胆しないで下さい。このお金をあなた方にお貸ししましょう。そうすれば、あなた方は、欲しいものを買うのにそれを使えるでしょう。しかし、利子を払わなければいけません。お金はここでは希少なので、8%の利子が妥当だと思います。」 
「はい、全くその通りです、オリバーさん」
「皆さん、最後にもう一つ、述べさせて下さい。ビジネスはビジネスであり、仲間の間で公平にすべきであす。そのお金を受け取る前に各自借用書に署名して下さい。そうすることで、あなた方は、私による資産没収というペナルティの下で、利子および元金を支払う義務が生じます。いえ、これは単なる形式的な手続きです。私はお金に満足しています。そして、私は私のお金を手に入れ、あなた方はあなた方の資産を守るであろうと、確信しています。」
「分かりました、オリバーさん。我々は借金を返済するために、今まで以上に頑張って働きます。」
「そう、その意気です。そして、何か問題があったら、いつでも私に会いに来て下さい。あなた方の銀行家はあなた方の最良の友人です。さて、ここにあなた方それぞれのために2百ドルずつあります。」そして我らが5名の勇敢な男達は、ドル紙幣を手に一杯持って去った。彼らの頭は、お金を持っているという恍惚感で揺れていた。

9. 算術上の問題

かくして、オリバーのお金は島で流通した。交換は、お金によって簡略化されたお蔭で、2倍になった。誰もが幸福であった。そして、銀行家は絶えることのない敬意と感謝をもっていつも挨拶された。
しかし、ちょっと変なことが・・・。
探鉱家のトムは、鉛筆と紙で忙しげに座っているが、何やら深刻そうに見えるのは何故だろうか?
それは、トムが、他の皆と同様、1年後に元本の200ドルに加えて16ドルを支払うという契約書に署名したためである。しかし、トムはポケットに2〜3ドルしか持っておらず、支払い期限が迫っている。
長時間、彼は彼自身の見地でこの問題と格闘したが、成功しなかった。最終的に彼はその小さな共同体全体の角度から見た。
「島の全員を全体として考慮したら、我らは我らの義務を遂行できるのであろうか?」
と、彼は瞑想した。
オリバーはトータルで1,000ドルを作り出した。彼は1,080ドルの返済を求めている。しかし、たとえ、我々が島中のすべての紙幣を集めて彼に差し出したとしても80ドル不足する。誰も余分な80ドルを作れない。我々は生産物を作り出すが、ドル紙幣は作れない。したがって、全ての住民が一致して元本と利子を彼に返済できないのだから、オリバーは島全体を我々から取り上げることができる。
「たとえ、他人のことを考えないで、2〜3人が返済することができたとしても、それ以外の人々は返済できない。そして最初切り抜けた人々も最終的には同じ運命を辿るであろう。銀行家はすべてを手にするであろう。我々は直ちに集会を開いて、それについてどうしたら良いか議論すべきだ。」
トムは、手中の数字を用いて、その状況を分かり易く説明した。
全員が親切な銀行家に騙されたことに同意した。彼らは銀行家と話し合いの場を持つことを決断した。 

10.慈悲深い銀行家

オリバーは彼らが考えていることを推測していたが、それを顔に出さず平然としていた。彼が耳を傾けている間、フランクは彼らに起こっている状況について衝動のまま述べ立てた。
「この島中かき集めても1,000ドルしかないのに、どうして1,080ドル払えるのだ?」
「皆さん、それは興味深いことですね。あなた方の生産効率はアップしませんでしたか?」
「確かにアップしたが、お金はそうじゃない。あなたが求めているのはお金であって、我々の生産物ではない。あなたはお金を作ることができるただ一人の人物だ。あなたは、1,000ドル作っただけなのに、1,080ドルを要求している。それは不可能なことだ。」
「まあ、皆さん、お聞き下さい。銀行家というものは、共同体がより良くなるように、その時々の状況に合わせるものなのです。私は利子しか要求しません。たった、80ドルだけで十分です。あなた方は元本を保持して良いのです。」
「おやおや、オリバーさん! あなたは、各自が借りている200ドルを断念するのですか?」
「いや、とんでもない。申し訳ないですが、銀行家は貸したお金を断念することはありません。あなた方には、私が貸したすべてのお金の返済義務が残ります。しかし、利子だけ毎年払えば良いのです。あなた方が利子だけ毎年忠実に払って下さるならば、元本の返済を要求しません。たぶん、どなたかは、お金が人の手を渡り歩く結果、利子さえ払うことができなくなるでしょう。そういうことが起こらないように、国家がするのと同様に、準備計画して下さい。すなわち、我々が税金と称するもの、すなわちお金を寄付するシステムを設立して下さい。沢山稼ぐ人はより多くの税金を払い、少なく稼ぐ人はより少ない税金を納めれば良いでしょう。税金で利子の総額を集めて私に持ってきてくれるように計らって頂ければ、私は満足です。そうすれば、あなた方の小さな国は繁栄するでしょう。」
このように、我らが男達は、少し納得させられたものの、まだ不信感を持ったままであった。

11. オリバーは歓喜している

オリバーは一人、深く沈思している。彼は次のように考えていた。
「ビジネスは順調だ。ここの男達は働き者だが愚かだ。彼らの無知と無邪気さは私にとって力となる。彼らはお金を求め、私は彼らに奴隷のための鎖を与えてやった。彼らは私に花をくれ、私は彼らのポケットの中身を頂戴する。」
「確かに、彼らは暴動を起こして私を海に投げ込むかも知れない。しかし、ふん! 私は彼らの署名を持っている。彼らは正直者だ。彼らは彼らの誓約を尊重するであろう。正直で勤勉な人々は、金融家に奉仕するために、この世に存在するのだ。」
「お〜、偉大なる富の神よ! 私はあなたの銀行業精神が私の全存在を通して流れているのを感じる。お〜、傑出した主よ! あなたが“私に国の通貨支配権を与えよ。そうすれば、誰が法律を作ろうとも構いやしない”と言ったとき、あなたは何と正しかったろうか。私は救済の島のお金を支配しているが故、この島の支配者である。」
「私の魂は熱狂と野心で酔っている。私は宇宙を支配できるような気分である。私オリバーは、ここでしたことを、全世界の至る所ですることができる。お〜! この島を出られさえすればなあ! 王冠を戴くことなしに世界を支配する方法を私は知っている。」
「私の最高の喜びは、社会を導く人々、すなわち銀行家、実業家、政治家、改革者、教師、新聞記者の心の中に、私の哲学を教え込むことだ ― 彼らは全て私の召使になるであろう。大衆の中のエリートを監督者として利用することによって、大衆は奴隷状態の中で生きることに満足する。

12. 我慢できないほどの生活費

暫くして、救済の島において、事態は一方的に悪化して行った。生産高はアップし、物々交換は最小限まで廃れた。
オリバーは定期的に利子を徴収した。他の人々は、彼のためにお金を別に取っておくことを考えなければならなかった。このようにして、お金は自由に循環しないで、滞留しがちになった。税金を沢山払った人が少ししか払わなかった人に不平を言った。彼らは彼らの損失の穴埋めをするために商品価格を上げた。税金を払わなかった不運な貧しい人々は、生活費高騰を嘆き、買い物を一層控えた。もし、サラリーマンが生まれたら、彼は増加していく生活費に対応するため継続的に給料の増加を要求したであろう。士気は低かった。生きる喜びは失せた。誰もが自分の仕事に興味を持たなかった。何故、持つべきなのだ? 生産物は売れなくなった。彼らは売り上げを計上したら、オリバーに税金を払わねばならなかった。彼らは物不足に陥った。本当の危機であった。彼らはお思いやりに欠けると互いを非難し、また、高い生活費に関して責任があると非難し合った。

ある日のこと、ハリーは彼の果樹園内に座り込んで事態について熟考していた。
難民の通貨システムから生まれた“進歩”がこの島のすべてを台無しにしたという結論に、彼はついに到達した。疑いもなく、5名全員に責任はあるが、オリバーのシステムがとりわけ人間性において最悪のものをもたらすために仕組まれてきたように思われた。
ハリーはこのことを友人達に説明し、一緒に行動に移す決心をした。彼はジムから始めたが、納得させるのは困難ではなかった。「私は頭が良い訳ではないが、長い間、この銀行家によるシステムに悪臭を感じていた」と彼は言った。彼らは一人ずつ同じ結論に達し、オリバーともう一度会議をする決心をして、話し合いを終えた。

13.オリバーによる奴隷化

本当の大嵐が銀行家の耳の周りで荒れ狂った。
「こら〜、お前が我々からお金を奪ったので、この島にお金が不足しているではないか! 我々はお前に払っては払ってをしたが、まだ最初と同じだけの借金がある。我々は必死に働いた。我々は可能な範囲で最上の島を持っていたのに、お前がやって来た日よりも以前と比べて我々の状況はすっかり悪くなっている。借金! 借金! 首まで借金で埋まっている!」
「お〜、君ら、道理をわきまえたまえ! 君らの仕事は繁盛していて、それは私のお蔭だよ。良い銀行システムは国の最良の資産なんだ。しかし、それを効果的にするためには、銀行家を信頼しなけりゃならんのだよ。父親のところに来るように、私のところに来たまえ。 もっとお金が欲しいのかい? よし、よし。 私の樽一杯のゴールドは、数千ドル以上に値する。君らが最近取得した物を抵当にして、君らに更に1,000ドル貸してあげよう。今直ぐにだよ。」 
「そんなことしたら、我々の借金は2,000ドルにアップするじゃないか! 残りの人生で、これまでの倍の利子を払うことになるじゃないか!」
「そやけどな、あんたらの資産が増えたら、もっと貸したるやんか。そんで、あんたらは利子だけ払えばええねんで。あんたらの借金を一つに纏めたらええがな。連結負債というやっちゃ。そないしたら、毎年、借金を増やせるんやで。」
「そうして、毎年、税金を増やせってことか?」
「そういうことになるな。そやけどな、あんたらの収入も毎年増えるんやで。」
「そういうことだと、我々が働くことで国としては毎年発展する一方で、公の借金は益々増加することになる。」
「それがどないしたんや! あんたらの国でも、文明世界のどこでも、それは同じことや。国の文明化の程度は、銀行家への借金の大きさで測れるんやで。」

14.狼は子羊をむさぼり食う

「オリバーさん、それが健全な通貨システムなのですか?」
「紳士諸君、すべての健全なお金はゴールドに支えられていて、銀行から負債という形で出て行くものなんやで。国の借金はええことなんや。国に借金があるさかい、人間は満足し過ぎへんのやで。国の借金のお蔭で、政府は最高にして究極の知恵にひれ伏すんや、そんでそれは銀行家の姿で具体化されるんや。銀行家として、わいはあんたらの小さな島の文明の光明なんやで。わいがあんたらの政策を指図して、生活水準を調整してやるがな。」
「オリバーさん、我々は無学な人間に過ぎないけれど、ここでそのような文明を望んでいません。我々は、あなたからもう1セントたりと借りるつもりはないです。健全なお金であろうとなかろうと、これ以上、あなたと取引したくないです。」
「紳士諸君、あんたらの余りにも無分別な判断を聴いて、わいは残念でたまらんわ。もし、わいと絶交するんやったら、わいがあんたらの借用書を持っとるの、覚えてるやろな。元本と利子を含めて、今すぐにすべて返してもらおやないか。」
「しかし、それは無理ですよ。島にあるすべてのお金を差し出しても、あなたから借りているものをすべて返せはしないでしょう。」
「そらあかんで。サインしたんか、それともサインせんかったんか? そやろ、したやろ。 分かっとったら、ええんや。」
「契約の神聖なる義務に則って、あんたらの抵当資産を頂戴しまっせ。あんたらがわいの助けを得て幸福やった時にあんたらが同意した通りにな。お金の最大の権威に喜んで奉仕せ〜へんのやったら、力ずくでも従ごうて貰うで〜。これからは、わいのために、わいの都合に合わせて島を開発してもらいまひょ。さっさと出て行きさらせ! あしたからは、わいの命令に従うんや、分かっとるな。」

15. 印刷機の制御

オリバーは、国の通貨を支配するものが誰であろうとも、その者が国を支配するのだということを知っていた。しかし、その支配を維持するためには、人々を無知の状態に保ち、様々の手段で彼らの注意をそらす必要があることも知っていた。オリバーは、島の住民5名のうち2名は保守的で、3名は進歩的であることを見取っていた。とりわけ彼らが奴隷状態に陥ったあと、その違いは彼らの夕刻の談話において益々顕著になっていた。そして、保守派と進歩派の間に、不断の不和があった。ハリーは5名の中で最も中立的であったが、全員が同じ要求と願望を抱いていることを考慮して、当局への圧力を掛けるための組合の結成を時折示唆していた。そのような組合をオリバーは黙認できないであろう。それは彼の支配の終焉を意味するであろう。独裁者であれ金融家であれ、どのような者でも、団結した教養ある人々の前では、力を失うであろう。したがって、オリバーは彼らの間で政治的な闘争が起きるように、できるだけ扇動した。その難民は印刷所を開設し、2種類の週刊新聞、進歩派のために"太陽"、保守派のために“星”を発行した。“太陽”の一般的な主張は次のようなものである。
「もし、あなたがもはや自由人でないならば、それは大企業に寝返った裏切り者の保守主義者の所為だ」
一方、“星”のそれは、
「ビジネスの荒廃状態と国家の負債の原因を追跡すれば、口にするのも恥ずかしい進歩主義者の政治的責任に直接結び付く」
というようなものである。

16.非常に貴重な小さな漂流物

ある日、探鉱家のトムが、小さな浜辺で、島の端の高い草に隠れていた避難用ボートを発見した。そのボートには、他に何もなかったが、その底に状態の良いトランクがあった。彼はそのトランクを開けた。中にあった品物のうち、ある種の抜粋集「社会信用論の最初の年」が彼の目を捉えた。表紙の間に、社会信用論出版物の最初のものを彼は見つけた。好奇心に惹かれ、彼は座ってその書物を読み始めた。彼の興味は増大した。彼の顔は喜びで輝いた。
「おい、ちょっとこれを見ろ」
彼は大声で自分に叫んだ。
「これこそがずっと以前に我々が知っておくべきだったものだ。」
「お金はゴールドからその価値を手に入れるのではなく、そのお金で買う生産物からなのだ。」
「簡単に言えば、お金は、会計上のもの、すなわち、購入と販売に従ってある人の口座から別の人の口座に移るべき信用であるべきだ。お金の総額は、生産物の総額に依存するものなのだ。」
「生産高が増加する度に、お金の総額においてもそれに対応する増加があるのだ。新しいお金に対して、いかなる場合でも利子は払われるべきではない。進歩は、公的債務の増加ではなく、個人に公平に発行分配される紙幣によって、数値化される。物価は、価格に掛ける係数によって、全体の購買力に一致するように調節される。社会信用論...」
しかし、トムはもはや自分を抑制できなかった。彼は、その本を手にして、立ち上がって、この名誉ある発見を他の仲間と共有するために、駆け足で出発した。

17.お金 ― 初歩の会計

かくして、トムは教師になった。彼は神が送ってきた社会信用論出版から学んだことを他の者達に教えた。
「これが、銀行家や彼の樽一杯のゴールドを当てにすることなく、また借用書に署名することなしに我々ができることだ」
と彼は言った。
「あなた方の各々の名前で口座を開きます。左側の列が口座残高を増やす信用であり、右側の列が口座から差し引かれる負債です。フランクがポールからある商品を10ドルで買います。私はフランクから10ドル引きますと、彼には190ドル残ります。ポールには10ドルを足しますので、彼は今210ドル所有しています。ジムがポールから8ドルのものを買い増す。私はジムから8ドル引くので、彼には192ドル残ります。 ポールは今218ドル所有しています。ポールがフランクから15ドルの木材を買い増す。私はポールから15ドル引き、彼には203ドル残ります。フランクの口座には15ドル足しますので、彼は205ドルになります。このように我々は続けます。一つの口座から別の口座へ。同じようにして、銀行券は一人のポケットから他の人のポケットへ移動します。誰かが生産を拡大するためにお金を必要としたら、我々は彼に必要な額の信用を発行します。彼が彼の生産物を売ったら、彼は信用基金にその額を払い戻します。公共事業でも同じです。新しい信用によって払えば良いのです。 さらに、各自の口座残高は定期的に増加します。誰かから信用を取ることなしにです。全員が社会の進歩の恩恵を受けるためです。それが国民配当です。このようにして、お金は奉仕の道具になります。」

18.銀行家の失望

全員が理解した。この小さな社会の構成員達は、社会信用論者になった。翌日、銀行家オリバーは5名の署名入りの手紙を受け取った。
「「拝啓、貴殿は、その必然性が全くないにもかかわらず、我々を借金地獄に追い込み、我々から搾取した。我々は通貨システムを運営する上で最早貴殿を必要としない。我々は今後ゴールド、負債、あるいは泥棒無しで、我々が必要とするすべてのお金を所有するであろう。我々は島に社会信用システムを同時に樹立している。国民配当が国の負債に取って代わるであろう。もし、貴殿が返済を求めるならば、貴殿が我々に与えたすべてのお金を返却しよう。しかし、1セントでもそれ以上ではない。貴殿は自分が作らなかったものまで請求することはできない」
オリバーは失望した。彼の帝国は粉々になった。彼の夢は壊れた。彼は何をすることができるだろうか? 論争は虚しいだろう。5名は今や社会信用論者だった。お金と信用は、もはやオリーバーと同様、彼らにとっても不可解なものではなくなった。
「くっそ〜!」
オリバーは言った。
「あいつらは社会信用論に辿り着きやがった。あいつらの教義は、わいのより速く広まるやろなあ。謝ったろか? あいつらの仲間になったろか?  ちゃうちゃう、わいは金融家で銀行家やで! わいとあいつらの間に、できるだけ距離を置くしかないがな!」

19.詐欺行為が暴かれた

将来におけるオリバーの要求から彼ら自身を守るために、我らが5名の男達はオリバーをして書類に署名させることを決めた。彼が島に到着したときに持っていたものを再び彼が所有するという内容の書類である。目録が作られた。ボート、オール、小さな印刷機、および有名な1樽のゴールド。オリバーはゴールドを隠した場所を明らかにしなければならなかった。我らが男達は穴からそれを引き上げたが、かつてボートからそれを降ろしたときと違って、ほとんど敬意を払うことなく作業した。探鉱家は、樽を引き上げるのを手伝っていたとき、ゴールドにしては意外に軽いことに気付いた。彼は他の男達に、もし樽が一杯ならば、ゴールド以外に何か入っていると言った。気の短いフランクは時間を無駄にしなかった。斧の一振りで、樽の中身がさらけ出された。ゴールドだって? そんなもの一粒もない―平凡な無価値ない岩石だった! 我らが男達はそのショックに打ち勝てなかった。
「これほどまで彼は我々を欺くことができたというのか!」
「ゴールドというたった一言で有頂天になるほど、我々はまぬけだったのか?」
「2〜3ポンドの岩石に基づいた2〜3片の紙のために、我々は全財産を抵当に入れたのか? 嘘で固めた泥棒行為だ!」
「そのような詐欺行為のために、我々が不機嫌になり、お互いをほとんど憎み合うまでになったことを思うと! あの悪魔め!」
激怒してフランクは斧を振り上げた。その時、銀行家は既に大急ぎで森林の方へ逃げ去っていた。

20.救済の島とのお別れ

樽を開けて、オリバーの二枚舌が明らかになってから、彼はどうしたのか不明であった。その直ぐ後、通常の航海ルートから外れた船がこの海図に載っていない島における生命の気配に気付き、沖合い遠からぬところに錨を投じた。男達は船がアメリカへの途上であることを知った。それで、彼らは持っていけるものを持って合衆国に戻る決心をした。彼らは、先ず第一に“社会信用論の最初の年”という抜粋集を返すことを確かめた。その抜粋集は、金融家オリバーの手中からの彼らの救済となり、消えることの無い光で彼らの心を照らしたのだった。5名は全員、アメリカに戻ったら、この論文の管理者と連絡を取り、彼らの国における社会信用運動の献身的で熱心な使徒になることを約束した。

From parable to reality --A debt-money system--
日本語訳文 『寓話から現実へ』--負債としての通貨システム--

オリバーによって救済の島に導入された負債としての通貨システムは、それが発展し、その働きで島を豊かにするに比例して、小さな共同体を財政赤字に沈ませました。これはまさに我々文明化された国で起こっていることですね?

今日のカナダは、50年あるいは100年前、または開拓者の時代と比較して、実際の富において確かにより豊かになっています。しかし、今日の国の負債、すべての公共部門の負債総額を50年、100年、あるいは3世紀前と比べてみて下さい! カナダ人は自分たちの労働力とノウハウでこの豊かさを築いたのですが、それにもかかわらず何故自分たちの活動の結果のために全体として借金状態にあるべきなのでしょうか?たとえば、学校、市の送水路、橋、道路、およびその他公共の構造物について考えて下さい。誰がそれらすべてを建てているのでしょうか?この 国の建築業者です。誰が彼らに必要な材料を供給しているのでしょうか?この 国の製造業者です。そして、何故、彼らは公共事業を請け負うことができるのででしょうか? 建築業者や製造業者の必要を満足させるためのすべての品物やサービス、たとえば食料、衣類、靴などを作り出す他の産業の労働者がいるからです。 このように、カナダの全住人が、種類の異なる仕事をすることによって、これらのすべての発展を生み出したのです。もし、海外から商品を得る必要があれば、その代わりの商品を海外に売ります。さて、何が分かりますか? 至る所で、市民はそれらの学校、病院、橋、道路などの公共事業のために税金を払わされています。このようにカナダ人は全体として生産しているものに対して全体として支払うことを強要されています。

あなた方は2倍以上の価格を払っているのです

そして、これがすべてではありません。全住人は生産するのに要った価格以上のものを払わされています。全住民の生産、すなわち現実の富がカナダ人にとって利子を課せられた負債になっているのです。年を追うにつれて、利子の合計は増大し、その体制に課せられた負債総額に等しくなるか、むしろ負債総額を超えるかも知れません。
住民各々が生産するものの原価の2倍や3倍ものお金を、全住民が払わねばならないということが起こるかも知れません。公的部門の負債に加えて、産業界における負債もあり、これにも利子が課せられています。元本と利子を弁済するために、製造業者や建設業者は生産原価を上回る価格設定を強制され、そうしないと返済不能となり破産するのです。公的部門および産業界の負債は、カナダの全住民によって、利子をプラスして金融システムに払われています。我々は、公的部門の負債のために税金を、産業界の負債のために過剰の価格を支払っています。税金によって財布がぺっちゃんこになる一方で、価格は膨らんでいます。

暴君のように残酷なシステム

これらの事実および他の多くの事実によって、通貨システムは召使であるどころか支配するための金融システム、オリバーが反逆されるまで島の人々を支配したように人々に君臨するためのシステムであることが分かります。そして、もしお金の支配者が貸すのを拒否したならば、あるいは公共団体や製造業者にとって耐えられない条件を設けたならば、何が起きるでしょうか? たとえどんなに緊急であろうとも、公共団体は多くのプロジェクトを断念し、製造業者はカナダ人の現実の需要に応える為の開発・生産計画を断念するでしょう。これが失業の原因です。まだ貯金があるか、給料を得ている人々は、失業者が完全に飢えることを防ぐために、税金を払わされます。すべてのカナダ人にこんなにも有害な影響を与える、もっと残酷なシステムを想像できるでしょうか?

流通に対する障害

そしてこれがすべてではありません。通貨システムは、生産者に借金をさせたり、融資を拒絶することで生産を麻痺させるだけではなく、商品の流通に対しての卑劣な会計の道具でもあります。商店、専門店、および商品倉庫が商品で一杯で、すべての商品の更なる供給さえ可能であるにも関わらず、既に生産された商品の流通が制限されます。あなた方は代価を払える物しか得られません。大量の生産物を考えると、大量の購買力、すなわち人々の財布の中に大量のお金があるべきです。現実はそうではありません。製品の価格は、それらが生産されている間に購買力として分配されるお金の額よりも常に高いのです。これは、そのギャップを埋めるメカニズムを持たない現行の通貨システムの会計にとって先天的なのです。支払い能力は生産能力と等しくなるようになっていません。金融と現実は同じ速度ではありません。現実は生産するのが容易な大量の商品を意味します。金融は手に入れることが困難な欠乏しているお金を意味します。

邪悪なものを正すために

このように現行の通貨システムは、奉仕のためのシステムであるべきなのに、本当に横暴なシステムです。これは、それを捨て去るべきことを意味しておらず、それを正さなければならないのです。社会信用論として知られている金融の原則を適用することによって、華麗に正すことが可能です。(社会信用党と混同しないで下さい。その党は、他の目的を追求していて、反対の政策をしているのに、その名前を不法使用しています。) 社会信用論の原理は、それが適用されたとき、通貨システムを支配者の代わりに召使にするでしょう。それは、一人の天才C.H.ダグラス(1952年没)によって発見され、理論化されました。この問題に関しての最初の彼の著作が1918年に出版されています。

政党ではない

カナダに住んでいる余りにも多数の人々が、その言葉“社会信用論”を聞いたとき、心に浮かぶ最初の考えは、政党かということです。しかし、違います。その名前の党があったけれども、社会信用は政党ではありません。社会信用が政党でないのは、キリスト教が政党でないのと同じです。もっとも、国によっては、キリスト教民主党、キリスト教党、キリスト教センターなどという名前の政党があるでしょうけれども。政党というものは、権力を求めるため、国を支配するグループであるため、あるいはあらんと励むために存在します。社会信用はまさに反対のものです。社会信用は個人を自由にします。それは、個人が自分の人生の支配者になることができるような状況に導きます。社会信用はそれらを実現するために個々人に力を分配します。隣人を牛耳るための力ではなく、国の潜在的生産力から欲しいと思う商品を注文するための力です。

社会信用論.正確な.論理的な.人間味のある

社会信用論は現実を見ます。金融が囲まれてきた後光に惑わされることを拒絶します。経済的実体は一方では生産高です。既存の生産量だけではなく、直ちに可能な生産量も含めた生産能力です、また他方では、人々の需要です。社会信用論は、単に実体を表現しなければならず、忠実に実体を表すべきである、実体ではない金融上の表示ではなく、実体を最優先します。

本当の信用と金融上の信用

社会信用論が現実の信用(実体)と金融上の信用(表示)を区別する理由は次の通りです。

“信用”という単語は、ラテン語の“credere”を語源としていて、信頼という観念を担っています。誰かに信用を与えるという日常会話においてさえ、それはその人を信頼するということを示すことではないでしょうか?社会信用論は、国における信頼、すなわち極端な困難を伴わずにそこで人が暮らしていけるという信頼を実際に与えるものを国の現実信用と呼びます。国の現実信用はその生産能力です。それは商品を生産して必要とする人々に配給する能力の程度です。 そして社会信用論は、金融上の信用が現実信用を正確に表示するものでなければならないと断言します。それ故、金融の動きを決定しなければならないものは、生産能力です。金融が生産能力に指図したり、麻痺させたり、あるいは制限したりすることは絶対にあってはなりません。そのような訳で、社会信用論は、国(あるいは州や県)の信用口座を管理するための信用事務所設立を要求します。その事務所では、何らかの生産、すなわち消耗品や資本財の生産は、富の増加として記録されます。富の正味の増加は、生産高から消費量を差し引いたものになります。他の国に迷惑を掛けて存続するような国は極めて稀で過渡的な例外であり、国の生産高は消費量を上回ります。その国はより豊かになってゆきます。それ故、国が負債を抱え込むようになるなんて言う事は道理に合いません。公共部門の負債なんて、馬鹿げたことなんです。そして国がより豊かになっていく時、市民はその利点を確実に引き出すに違いありません。全員に負債と税金ではなく、全員に配当をと社会信用論者が言うのは、そのようなことを理解しているからなんです。

インフレーションが生じないお金

現行のシステムではインフレーションになりやすい。インフレーションは価格上昇を意味します。

今日のように負債を生み出すことなしにお金が発生し得ないとき、負債に加えてその負債に対する利子を返済するためには、流通しているお金の量以上を大衆から取り上げる方法を見つけ出す必要があります。税金は、それが価格に付け加えられ、その価格を前にして購買力を弱めます。産業界による価格上昇もあり、産業界は生産物の製造費だけではなく、金融上の費用すなわち産業界の負債に対する利子も払うために大衆から取り上げなければなりません。生産というものは富の増加であり、負債の増加ではないので、社会信用はこの癌、すなわち価格への腫瘍を抑制します。そして、生産するものすべてではなく、消費するものだけに対して大衆は払うので、社会信用は購入者が払う価格を下げます。たとえば、国全体において、消費量が生産高の3/4に等しかったならば、大衆が買うどの品物についても経理上の価格の3/4だけ支払えば良いのです。信用事務所は、小売業者が経理上の価格分を得ることができるように、小売業者を補償する世話をします。これは次のことを意味します。価格に含まれるべきお金の量のうち、公衆の手に渡らなかったか、あるいは貯蓄や投資に向かった分は、生産物の購入に用いられず、生産物を必要とする人々の利益のために、信用の組織体が取って代わるということです。

すべての人々への配当

社会信用論が推薦するすべての人々への定期的配当もまた経済の実体と整合しています。実際、近代の生産というものは、応用科学、発明、生産技術改善、公益を構成するこれら全てのものの恩恵を益々受けています。世代から次の世代へ引き継がれ増加している遺産の恩恵を受けているのです。近代の生産というものは益々個人の労働を必要としていません。それ故、人の労働の報酬を通してだけ生産物を分配することを望むのは、事実に反していて、同時に不可能でもあります。というのは、労働の報酬として分配されるお金は、その価格の中に人件費以外の要素を含んでいる生産物を買うのに不足しているからです。 人の労働が減少する中で給料の増加を求めることは、給料という言葉の意味を変えることでもあります。それは最早労働に対する報酬ではありません。それは全員に払われるべき配当を雇用された人の給料に含めることになります。というのは、それは労働ではなく進歩の成果だからです。そのような逸脱は望ましいゴールへの障害となります。なぜなら、配当に回される代わりに給料に含まれたならば、価格への上乗せになるからです。社会信用は、産業界を通してではなく、直接に全員へ配当を分配し、真に全ての人々の購買力を上げるのです。この社会配当は、非常に生産力の高い共同体資本財の認知であること以外に、世俗的な商品の原始的な目的を満足する優れた方法でもあります。“地球と地球の富は全ての人間のために創造された”(ローマ教皇ピウス12世)。このことが、現行の経済制度では、金融上の分配手法において全く無視されています。 社会信用は、自然界および産業界の商品の適切な再配分をそのように直接的に実現します。現状のように、決して病気を治すのではなく、いたずらに切断し移植する外科手術に等しい税に頼る必要がありません。生まれてから死ぬまで各自および全員への配当で保証される各自および全員への分配。そしてこの分配は少なくとも生活に必要なものを保証するのに十分であるべきです。

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