Anti-Rothschild Alliance

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資料室

C.H. Douglas: Pioneer of Monetary Reform
日本語訳文 『C.H.ダグラス:通貨改革のパイオニア』

リチャード・C・クック 著
原文【英語サイト】http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=6870

C.H.ダクラス(1879-1952)は、20世紀初頭において米国と英国の数社で働いた経歴のあるスコットランド生まれのエンジニアであり、近代の通貨改革運動の創始者である。1920年代に創刊されたA.R.オレイジの出版物ニューエイジにおける、それらについてのオレイジの論文を通してダグラスのアイデアを発見したことによって、私は通貨改革に対して関心を持つようになった。

近代の産業では、全ての人々の需要を十分に満たす生産が可能だ。ところが、現在でも生産をさらに高めるように仕向けられており、同時に借金もさらに増え続けている状態にある。その理由をダグラスは、産業の構造が銀行による<独占的通貨創造システム>に組み込まれているからだと指摘している。

ダグラスは、生産プロセスにおける時間の経過の中で為さねばならない様々な理由のため、製造される物の値段とそれを消費するために必要な購買力の間に金銭上のギャップが存在することを詳述している。このギャップを引き起こす要因に関して、ダグラスは1932年のパンフレット新旧の経済学の中で、次のように書いている。

「商品の総合価格と比較して購買力が不足するのには、少なくとも次の5種類の原因があると断言できる。

  1. 大衆から集められる金銭上の利益(利子は不可解な利益である)
  2. 貯蓄、すなわち購入することの棄権
  3. 即座に購買力に向かわないで新しいコストを生み出す新しい仕事への投資
  4. 前期の原価会計サイクルが値段に反映されるという処理がもたらす、原価償却と値段発生の間の巡回速度の差異。実際に、すべてのプラント管理はこの性質を帯びていて、前期の賃金サイクルから生み出される資材に対する全ての支払いは同じ性質を有している。
  5. デフレーション、すなわち銀行による有価証券売却および負債回収」

そのような要因は、合衆国およびカナダを含むすべての先進国の近代経済の現状に完全に当てはまっている。それらの国においては、GDPによって表される生産量すなわち価格と、その生産物を消費するための購買力との間のギャップを埋めるための手段として、銀行が創造する負債が使用されている。なお、購買力は賃金、給料、および配当からの収入で成り立っている。

これに関して、カナダの社会信用論専門家が著者への手紙で次のようにコメントしている。現行のシステムは、銀行の貸付としての通貨の創造・発行によるこの拡大するギャップの橋渡しをしようとするもので、その通貨は、消費のため、および(または)不必要で破壊的な(すなわち軍事品の)資本生産のために使われる。そのように発行される負債は会計上のコストを最終的に弁済するものではなく、次期の生産サイクルでの値段の中に追加的に含めることによって、会計上のコストに単に転嫁され、インフレーションを生み出すだけなのだ。(2007年5月17日)

ダグラスは、生産と消費の間のギャップを、国民所得と呼ぶ定期的な現金支給で満たすべきだという提案に至った。 実際、その国民所得は、国家の経済と資源の恵みとしての個々人への適切な分配であろう。ダグラスのこのアイデアは、今日、多数の経済学者や弁護士によって推進されている、経済の自由と公正さの手段としてのベーシック・インカムの概念と融合するものであると私は信じている。

政府が赤字支出をして完全雇用を達成するという1930年代からのアイデアは、戦争経済においてのみ完全に達成され得るのであるが、ダグラスのアイデアに逆らうために考案されたと言われている。そのダグラスのアイデアならば、完全に経済的な民主主義が擁護され、また、現在の科学技術から生じるべきだと我々全員が知っている達成困難な"割り当てられた余暇"が提供されたであろう。その代わり、この科学技術が金融資本主義者の手の中にあり、帝国的な軍隊および警察の権力に守られると、地球資源は益々浪費されることになる。また一方では、大多数の人々が永遠に増大する借金に起因する奴隷状態や、失業およびストレスによる不健康状態に縛りつけられるのだ。

全体主義的で集産主義的な社会体制に頼ることなく、人間性を破壊するのではなく人間性に奉仕させるために、科学技術と経済学のノウハウを使う方法を示した、近代における最初の人物がダグラスであった。ダクラスが始めた社会信用論運動は英連邦において今でも強大な影響力を有しているが、合衆国では知られ始めたばかりである。

グローバル・リサーチおよび他のウェブサイトに掲載するため、通貨改革に関する最近の論文シリーズを書いている間に、私はカナダおよびニュージーランドの社会信用論支持者からコンタクトを持つという幸運があった。彼らはダグラス達の著作からのテキストを私に与えてくれた。ノルウェイのオスロでの1935年の会議での、大恐慌の最中におけるダグラスのスピーチの中に、ダグラス自身による社会信用論についての最も明確な短い説明があるように思える。その会議には、ノルウェイ王その人が出席していた。

当然のことであるが、ダグラスは彼の時代における教養のある英国人であり、その時代の他の教養人と同様に、要点を明らかにするために使う単語については2回使っているように思われる。それで私は、ダグラス自身が使った単語をそのまま使う一方で、そのスピーチを適切に短縮した。

ダグラスのアイデアは、それらが書かれた当時と同じく、合衆国および残りの世界が1930年代のように経済的および社会的に悪い状況にある今日においても核心を突いている。 世界の資源、通貨、軍隊、教育機関、およびメディアを支配する裕福な人々を勿論除いてであるが、今日がたとえより悪くない状況にあるとしても。

ダグラスは主に民間部門の経済に焦点を合わせている。私の意見は、全面的な改革は公共部門も含めたものであるべきということである。私が自分の論文で概説しているプログラムの大半がインフラの資金調達および公共政策に関係しているのは、そういうことだからである。このアプローチは、私が連邦政府で生涯働いてきた経験も反映したものである。それに対して、ダグラスは主に民間企業で働いていた。

ダグラスのアイデアは、英連邦内の好奇心に富んだ数世代の人々を教化することによって既に世界に変化をもたらせた。彼らは、民主主義の目的に今もなお適する近代経済学を我々はどのようにしたら得ることができるかに関心を示した。今や、我々は他の改革とともに彼のプログラムを本当に実行することによって更なる一歩を踏み出す必要がある。

リチャード・C・クックは、元連邦所属のアナリストで、合衆国文官任用委員会、食品医薬局、カータ政権時のホワイトハウス、およびNASAに勤務したあと、21年間財務省に勤務したという経歴を持っている。通貨改革、経済学、および宇宙政策についての彼の論文は、Global Research,、Economy in Crisis、Dissident Voice、Atlantic Free Pressなどに掲載されている。彼は、“チャレンジャーについての暴露:レーガン政権がどのようにして宇宙時代最大の悲劇をもたらしたかについてのインサイダー報告”の著者である。

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